符亀 @Hu_games
ブース概要
ゲームマーケット2017秋より参加させていただいております、符亀と申します。
拙作「マジカルカナグル」「愛羅武粋逸」「ロングロングマホウ」「超超長城」「ツミカブリ」「リーサルチェックメイト」「インヴァージョン」「アマロン」「バックハンダー」「皇継の書状」「サイクリアン」「シリアリアン」「バーグリアン」「レイリアン」「フォッシリアン」「エンジェリアン」については、ゲーム一覧ページをご覧ください。
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- あがらせるゴーアウト「バーグリアン」【過去作広報キャンペーン3】
- 皆様こんばんは、符亀です。「新作の通販がむっちゃ調子いいのに旧作が動いてないから広報しようキャンペーン」、略して「旧作広報キャンペーン」の第二弾です。第一弾はこちらから、第二弾はこちらからどうぞ。ちなみに、これを書いている現在、新作「エンジェリアン」の通販は売り切れ中です。補充しろ。 第三弾は、現在ブームなゴーアウト (手札を出し切ったらアガリ系) から、他人にあがらせるゴーアウト「バークリアン」をご紹介します。他人にあがらせる…じゃあゴーアウトじゃねえじゃん。 【ゲーム概要】盗賊団テーマの、3〜5人用ゴーアウトです。プレイヤーは盗賊団のメンバーとなり、カードを出して次の盗み先を決めます。カードを出し切った人がリーダーとなり、その人が最後に出したカードのマークが盗み先となります。リーダーになれば報酬がもらえますが、いっしょに盗みに入った子分にも分け前がもらえます。さらに、リーダーには、自分より弱い子分に報酬を分けてやる義務も生じます。リーダーとなって報酬を独り占めするか、あいつをリーダーに仕立て上げて分け前をいただくのか、手札をコントロールする詰将棋系ゴーアウトです。 【コンポーネント】3種類のマークと1ー10の数字が書かれた、計30枚のカードを使います。マークは「銀行」「宝石店」「博物館」の3種類で、盗み先を表します。「博物館」のサモトラケのニケっぽさとミニマルさの両立をがんばったアイコンがお気に入り。数字は、まあ主張の強さとか勢力の強さとかそういうのを表してるんじゃないっすかね。よくわかんないです。 また、それとは別に、カードの出し方と得点計算の方法が載ったサマリー、および得点管理用のカードが1人1枚ずつ入っています。サマリーに得点の単位の表記揺れがあるのは秘密。 【ゲームの流れ】カードを6枚 (5人プレイ) か7枚 (3〜4人プレイ) 配り、5枚を選んで残りを捨てます。その後、5枚のうち「一番数字が大きいカードを表向きで場札に」→「残り4枚から好きな1枚を左隣に渡し」→「もらったカード以外の3枚を場札として表向きで公開し」ます。要するに、4枚の公開された場札と、1枚の右隣から押しつけられた手札とになるように準備します。 準備ができたら、まずスタートプレイヤー (最初にカードを出す人) が自身の場札から1枚 ( ① ) を出します。次の人は、A. ①と同じマークのカードB. ①より大きい数字のカードC. ①と異なるマークのカードを、1種類1枚ずつ計2枚のどれかを、自分の手札か場札から出せます。この時、自分の出したカードがどれか分かるように、自分の前に出してください。なお、出せるなら必ず出さなくてはならず、パスができません。 これを、誰かの手札と場札が全て無くなるまで繰り返します。全て無くなった人が今回のリーダーに、それ以外の人は子分になります。 リーダーは、2点 (3人プレイ) か3点 (4〜5人プレイ) をもらいます。子分は、自身とリーダーの最後に出したカードに応じて、得点がもらえたりもらえなかったりします。・リーダーと同じマーク → 1点をもらいます。・リーダーより小さい数字 → リーダーから1点をもらいます。この2つは重複するので、最大で2点もらえます。逆に、5人プレイの時に誰よりも大きい数字であがったりしようものなら、リーダーになったのに1点を失います。盗賊ってシビアな世界なんですね。 相手のカードを見ながらあがるかあがらせるかを考える、詰将棋風のプレイ感が楽しめるゴーアウトです。ゴーアウトか? 【振り返り】ここからは、旧作の広報がゆえの振り返りタイムです。まず本作の評価ですが、「キレイにまとまっており、符亀入門にオススメ」「良くいえば適切な難易度、悪くいえば中途半端」という感じです。 本作は「ミニマリアン」シリーズの3作目ですが、前2作がシリーズの立ち上げ時にポンポンと出た企画なのに対し、こちらは1作目の頒布後に企画を立てた作品でした。なので、シリーズコンセプトが明確化してから作った作品であり、「ミニマリアンっぽいゲーム」を作ろうとして作った作品です。 そんなゲームを作ろうとしたとき、目についたのがゴーアウトというジャンルでした。カードを出すだけというシンプルなギミック、UNOや大富豪で認知度も高いジャンルということで、ルール量を減らしつつも突飛なことをするにはちょうどいいのではと思いました。 そんなゴーアウトで「兼ね」られそうなものの筆頭は、プレイヤーが出したカードでしょう。(「兼ねる」は過去記事参照)それを次のプレイヤーの制限だけでなく、得点計算にも絡むようにしよう。なら、あがった人以外も得点がもらえた方が、このゲーム特有のギミックを味わえる人が増えるな。じゃあ、あがる人の「あがり方」を他の人がコントロールするゲームにするか。 そういう流れで、本作のルールはできました。 本作の良かったところは、・あがるなら小さい数字であがる・あがらせるなら自分と同じマークの大きい数字であがらせるという、何を目指したらいいかが明確なところだと思います。配られた手札からどっちを目指すか決め、押しつけられたカードを処理しながらそこを目指す。前作「シリアリアン」の課題であった「何をしたらいいのかわかりにくい」点が改善されており、また負けないためではなく点数を稼いでどう勝つかを考えるゲームなので、プレイ感もポジティブになります。とはいえ、2つの目標のどちらを目指すかの選択や、達成できなそうなときの損切り、何より他の人のコントロールと、符亀ゲーに期待いただいているであろう戦略性は残っています。これらの意味で、自画自賛ですが完成度は高めの一作なのではと思います。 が、逆にいえば、間口が広いはずのゴーアウトなのに難しすぎるとも言えます。逆に、符亀ゲー愛好者には物足りない可能性もあります。少なくとも、「シリアリアン」よりブッ飛んではいないでしょう。なので、シリーズ全体を通してみると、地味な印象を与えかねない作品です。そういう意味では、3作目という味変タイミングでこれを出せたのは良かったかもしれません。味変の仕方がおかしい気はする。 適正な難易度なのか、日和っているのか、それともまだまだ人類には早いのか。ぜひ、皆様の目でお確かめいただけますと幸いです。 【宣伝】最後に宣伝タイムです。「バーグリアン」は、ボドゲーマさんで委託通販中です。実際、「ミニマリアン」シリーズを初めてやってみたいという方にはオススメな作品ですので、ぜひ。それかシリアリアンという劇薬からいくか。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- 2025/7/6 19:00
- 符亀
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- 12枚のトリテ「シリアリアン」【過去作広報キャンペーン2】
- 皆様こんばんは、符亀です。「新作の通販がむっちゃ調子いいのに旧作が動いてないから広報しようキャンペーン」、略して「旧作広報キャンペーン」の第二弾です。第一弾はこちらからどうぞ。第二弾は、シンプルながら頭を使う「ミニマリアン」シリーズの2作目、12枚のトリテ「シリアリアン」をご紹介します。すごろくやさんからもリメイクされた、弊サークルの代表作です。次回以降は消化試合…ってコト!? 【ゲーム概要】3種類のスート (マーク)、1ー12のランク (数字) が登場する、トリックテイキングです。トリックごとに、そのトリックで出されたカードを1枚ずつ、場札として獲得します。そして2トリック目以降は、フォローできる (1人目が出したカードと同じスート) なら場札からも出せます。なお、フォローできるなら誰の場札からでも出せます。こうして場札をコントロールし、誰かの場札が3枚になった瞬間にゲーム終了。場札に応じた得点がもらえます。場札が3枚の人は0点です。なので、最後のトリックは負けましょう。と思いきや、3枚が連番のときは、逆に特殊勝利します。なので、連番が作れそうなら勝ちましょう。たった12枚のカードで宇宙が見えると評判 (?) の、新感覚トリックテイキングです。3年前のゲームが新感覚を名乗るな。【コンポーネント】カード16枚、うち4枚が得点記録用のカードです。ランクは1ー12で、つまり同じ数字のカードは存在しません。スートはランクを3で割った余りに対応しており、1余るものは小麦 (赤)、2余るものはトウモロコシ (緑)、割り切れるものはオーツ麦 (青) が割り振られています。 なお、連番になると図柄がつながります。オシャレだね。【ゲームの流れ】カードを配りきり、全て手札として持ちます。3ー4人用のゲームなので、手札は3枚か4枚です。1トリック目は、普通にマストフォローのトリテを行います。つまり、「1人目は手札から1枚出し、」「次の人は、同じスートのカードが手札にあればそれしか出せず、ないなら好きなカードが出せ、」「これを順番に全員が1枚出すまで繰り返」します。そして、カードの強さ順、つまり「フォローしていて数字が大きい人→フォローしていて数字が小さい人→フォローしていない数字が大きい人→フォローしていない数字が小さい人」の順で、このトリックで出されたカードから1枚を選びます。選んだカードは、自分の場札として置いておきます。その後、2トリック目を行います。2トリック目も基本的にはマストフォローのトリックテイキングですが、フォローできるなら誰か (自分含む) の場札からも出せます。説明書より抜粋 こうして「カードを出す→場札をもらう」を繰り返し、誰かの場札が3枚になったらそのディール (ラウンド) を終了します。そのタイミングで、・場札が2枚じゃない人:0点です。・場札が2枚の人:2枚のランクの差が大きいほど、得点がもらえます。(1ー3点)これを繰り返し、誰かが7点以上を取ったらゲーム終了。一番得点の高い人が勝ちです。 説明書より抜粋 ただし、 ・場札が3枚、かつ連番の人:7点をもらいます。→ 勝ちます。 なので、このゲームは「いい場札を2枚そろえて3枚目を取らないゲーム」ではなく、「他人の連番を是が非でも止めるゲーム」です。ときには連番リーチな人から場札を奪い、ときには手札の連番になるカードを出さないように場札から出し、ときには自分が3トリック目に勝って自爆してでも連番リーチの人に3枚目を与えない等々。まあ、あれです。がんばってください。 【振り返り】ここからは、旧作の広報がゆえの振り返りタイムです。まず本作の評価ですが、「悪手を避けるゲームすぎる」「兼ねるの良し悪しが詰まった1作」という感じです。代表作なんだからもっと良い感じに書けよ。 前回書いた通り、この「ミニマリアン」シリーズでは、松井優征氏の「兼ねる」をゲームの面白さ作りに活用することを裏テーマとしています。しかし、シリーズ1作目である「サイクリアン」では、想定通りの「兼ねる」を実現することはできませんでした。そのリベンジとして制作されたのが、この「シリアリアン」というわけです。 では、何と何を兼ねさせるのか。そこで目を付けたのが、トリックテイキングでした。トリックテイキングでは、基本的にはトリックごとに、1人1枚ずつカードが出されます。出されたカードは、勝ち数を数えるため、勝者が1山に重ねて取るパターンが多いです。 この「取られて消えるカード」に、何か役割を持たせられないだろうか。例えば、どれを取るかで点数が変わるようにしてはどうか。スートのセットコレクションもできるが、ランクに「トリックの勝敗決めのための強さ」以外の意味を与える形で、得点の要素を「兼ね」させられないか。取ったカードのランクで、なんらかの計算させるのはどうだろうか。足し算や掛け算では、ただ大きい数字を取るだけのゲームになる。割り算は計算が難しい。となると、引き算で差を出すのはどうか。引き算をさせるなら、取るカードの枚数は2枚にさせたい。では、3枚目を取った人は脱落させればいい。しかし、これだけでは、大きい数字と小さい数字の2枚を集めればよくなってしまう。逆に、差が小さいものを集めた時の特殊処理がほしい。いっそのこと、連番に意味を作るのはどうだろうか。連番を狙うと差が最小になって極端に不利になるので、そのリターンは大きくしたい。なら、「3枚を集める=連番じゃないと脱落」という極大のリスクと、「連番なら即勝利」の最強リターンをセットにしよう。 いや、「取られて消えるカード」と「得点計算用のカード」以外に、もう1つ役割を兼ねさせたいな。じゃあ、その場札のカードも出せるようにしちゃおう。ただ、なんでも出せるようだと自由度が高すぎるし場札の調整が簡単すぎるから、制限を設けよう。トリックテイキングらしく、制限はマストフォロー (同じスートしか出せない) でいいんじゃないかな。あ、でもそれじゃあ場札を出せる状況が少なすぎるな。ええい、じゃあもう誰の場札からでも出せるようにしちゃおう。説明書より使い回し このように、「シリアリアン」のルールは過去一カンタンに決まりました。テストプレイも何度かしてもらいましたが、変更したのは・カードを裏で取る (裏で取ったカードはゲームから消え、他の人から取られなくなる) 選択肢の廃止 (テストプレイをお願いし始める前の1人回し中にイラネーとなり削除)・「2枚のランクの差=得点」だったのを、順位に応じた得点に変更 (少しでも順位を上げた方が得になる仕様の方がいいのでは、という意見を受け)・連番は100億万点あつかいだったのを、勝利に必要な7点ちょうどにして一応負け筋を残す (得点を積み重ねる戦略にテコ入れ)ぐらいです。要するに、得点周り以外はイジっていません。最初からほぼ完全体でした。 理論と思い切りとが見事にハマったルールだったので、個人的に気に入っている作品の1つです。評価もいただけており、すごろくやさんからもリメイクしていただけました。すごろくや!?なんでお前が!? ですがまあ、今見ると思うところもあり。まず第一に、ゲーム性が「良手を打っても詰め切れないが、悪手を打つと即死する」なので、勝ちに行くなら安全択を取るべきなんですよね。なので、体験が「負けなかったから勝った」になりかねない。もちろん、そういう丸い手を打ち合うジリジリとした捌き合いを楽しむ人もいると思いますし、そういう人にはシンプルにオススメではありますが。なお、とある試遊会では、遊ばれた方から「これはシューティングゲームだよ」という評価をいただきました。なるほど、上手いこと言いますね。箱裏のProject code nameは「危機管理」です。プレイヤーに爆弾処理をさすな。 そしてそれに絡む話として、「とりあえずこれをしとけ」な手がない、というのも良くないですね。しいて言えば「デカいのと小さいのを押さえて3点取る」が鉄板ムーブですが、それすら他人の連番を防ぐためには投げ捨てないといけなかったり。全部の要素がキレイに絡まり合い、どの行動にもリスクとリターンが絡むため、逆にどの選択肢も検討すべき「選択肢」でしかない。「とりあえずお金生めるようにした方がいいよ」的な指針がないので、何をやったら何が起こるかを全部の選択肢に対して見積もる必要がある。なので、シンプルに難易度が高いうえ、自分の手が正しかったのかが得点という結果が出るまでわからない。言ってしまえば不親切です。 これ、私やゲームの弱点でもありながら、「兼ねる」自体の弱みでもあったのではと思っています。つまり、複数の評価軸が1つの選択肢に「兼ね」られているので、じゃあどうすりゃええねんとなりやすい。本来は、それぞれの評価軸に対し、プレイヤーが簡単に優先度を付けられる必要があったのでしょう。片方の評価軸で評価すれば基本的にいいが、たまに致命的なことが起こりうるのでもう片方も気にしておく、みたいなイメージです。 総括として、本作は「兼ねる」を裏テーマとしたシリーズの2作目であり、かなりキレイに「兼ねる」を体現したゲームであると言えます。その結果、たった12枚で出来ているとは思えない難易度とカチリとハマったルールから、高い評価をいただけました。ただし、「プレイ方針が立ちにくい」「悪手を避けるゲーム性」という、爽快感を生じさせにくい点に欠点もありました。これは「兼ねる」自体に内包されたリスクでもあり、つまりは「ミニマリアン」シリーズ全てがこの欠陥を抱えている可能性があります。他の「ミニマリアン」シリーズがこのリスクを克服したのかを楽しみにしながら、本連載の次回以降をお待ちください。それか今すぐ全作買って自分の目で確かめてください。 【宣伝】最後に宣伝タイムです。「シリアリアン」は、ボドゲーマさんで委託通販中です。トップ画像、ミスって印刷見本用の補助線が入ってるやつ挙げちゃったんですけど、これ修正できませんかね。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- 2025/6/28 19:19
- 符亀
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- 10分でできる重ゲー「サイクリアン」【過去作広報キャンペーン1】
- 皆様こんばんは、符亀です。「新作の通販がむっちゃ調子いいのに旧作が動いてないから広報しようキャンペーン」、略して「旧作広報キャンペーン」の第一弾です。ぶっちゃけすぎだろ。 第一弾は、シンプルながら頭を使う「ミニマリアン」シリーズの1作目、10分でできる重ゲー「サイクリアン」をご紹介します。なお、新作の方はボドゲーマさんの週間販売ランキングで10位にランクインしたらしいです。調子よすぎだろ。 【ゲーム概要】線路が描かれたカードを並べて線路をつなげていく、パズルゲームです。4色の駅があり、自分の担当する駅どうしを一番長い路線で結べた人が勝利します。カラフルな線路が絡み合うことで、最終盤面がとても鮮やかになるのも特徴です。 カードを並べた時のイメージ画像。ど真ん中 (裏面の一部使用) 以外は実物で再現可能。 【コンポーネント】カード24枚、うち4枚が担当色のマーカー兼サマリーです。カードは45 × 90 mmの変則サイズであり、45 × 45 mmのマスが2つ分になっています。正方形のマスが1×2マス並んだ形なので、カードは横向きにも縦向きにも配置できます。どっちの向きで置いても線路がつながるようになっていますので、好きなように配置してください。最終的な目的である「自分の駅どうしがつながった長い区間」を作るため、どの向きでどこに配置するのかをじっくり考えてください。【手番にできること】本作では、1人ずつ順番に、手番を3or4周行います。手番では、手持ちのカード2枚のうちどちらかを、盤面に配置します。毎回2択から選ぶだけ!簡単!自分の線路が伸びるようにすればいいので、端っこの自分の駅から一番遠いところにもう1つの駅が来るような置き方をすればOKです。簡単!なお、カードを置く前に、自分の色の線路が描かれているカードを回転させられます。簡たえっ!? そう、本作では、カードが回転させられます。それによりダイナミックに路線図が切り替わるので、自分だけが得をするように路線図を書き換えてやるのがポイントです! …置いたやつを回転させられるなら戦略性もクソもねーじゃん!と思われた方。まず、回せるのは「自分の色の線路が描かれたカード」です。駅が描かれているカードには基本的に2色の線路が描かれているので、自分ともう1人とで利害を一致させれば、回されずにすみます。さらに、ゲーム開始時に自分の色の線路しか描かれていないカードも配られるので、絶対に動かされたくないところはそれを使えばロックできます。また、「回転中に他のカードにぶつかる場合は移動できない」というルールもあるので、挟まれたカードは動きません。なので、回転させたカードを挟み込むようにカードを置けば、回転したカードが動かないようにロックできます。 一気に変化する盤面と、その変化を防ぐロックとを考えながら、自分の路線が一番長くなる手を探す。これが、本作が「10分でできる重ゲー」と呼ばれる理由です。余談ですが、このキャッチコピーは、某所で試遊をしていただいているときに店員さんから「すごい!5分でできる重ゲーですね!」と言われたのが元になっています。5分で終わるわけがないので、時間だけ伸ばして使わせていただきました。なお、10分でも終わらないと思います。自称10ー15分ゲーなのに!? 【振り返り】ここからは、せっかく旧作の広報をするということで、今だから書ける本作の振り返り的なことも書いていきましょう。まず本作の評価ですが、「シリーズ1作目なのにやりすぎた」という感じです。広報の記事で書くことじゃなくね!? 本作、その前のゲムマで10作目記念かつ1作目でイラストをお願いしたPolygonotesさんとの合作という集大成な作品「皇継の書状」を発表して、もうあとは好きにやるか的な気分で作ったやつだったんですよね。その「好きにやる」の内容ですが、端的に言えば「理論でボードゲームを作る」こと、つまりは「こう作れば面白くなるはず」という理論を実験するようなボードゲームを作ることでした。 その「理論」とは、ネウロ・暗殺教室・逃げ若の作者である松井優征氏の「兼ねる」です。詳しくは氏が行われた講義のまとめを読んでいただきたいのですが、端的に言えば「複数の要素を兼ねることで、読者のコストを減らしながら面白さを濃密にする」テクニックです。 松井氏は、このテクニックを「防御力」、つまり「面白くなさを取り除く」ものとして紹介しています。ですが私は、「兼ねる」を、面白さを生み出す「攻撃力」のためにも使えると考えました。ボードゲームにおいては、特にです。というのも、ボードゲームの面白さを生む要素として、よく「ジレンマ」が挙げられます。この「ジレンマ」とは、極論すれば「あちらを立てればこちらが立たず」という状態です。そう、ある選択に複数の要素を「兼ね」させれば、一手に複数の観点からの「ジレンマ」が乗り、濃密な体験ができる。これが、私が「兼ねる」は「攻撃力」だと言う理由です。「ミニマリアン」シリーズの表テーマは「シンプルながら頭を使う」ですが、裏テーマはこの「兼ねる」です。正確にはもう1つ裏テーマがあるのですが、それは秘密です。 「サイクリアン」では、1つのカードに複数の線路を載せ、自分の伸ばしたい線路以外にも干渉することで、「兼ねる」を実現しようとしました。しかし、人間の脳には限界というものがあるため、他の路線まで見て最適な手を打つのは不可能でした。要するに、「兼ねる」に失敗しました。では、本作は失敗作なのでしょうか。私は、そうとも言えないと思っています。断言しろよ。その理由として、別の「兼ねる」が生まれたからです。 それは、時間差によるカードの役割の変化です。例えば、最初の手番で置いたカードが、終盤にもう一度そこまで路線が返ってくることで路線のハブになる。例えば、別の人が置いたカードが、いま見返すといい感じに回転して路線を伸ばせるところにある。このように、「そんなつもりがなかったのに!」が起こりまくったのです。こんな路線の再発見はヒラメキを生み、計画的に1本の路線を伸ばしている時とは比べ物にならないほどの快感を生じさせます。この快感を、カードをたった数回置くだけで生じさせる可能性がある。本作は、そんな奇跡を起こして脳汁を出させるゲームになりました。ヤバいやつじゃねえか。箱の下部のプロジェクトネーム欄にも、「奇跡生成器」と記載が。プロジェクトネーム欄ってなんだよ。 総括として、本作は「兼ねる」を裏テーマとしたシリーズの1作目でありながら、想定した「兼ねる」を作ることには失敗しました。怪我の功名として莫大な快感を生める可能性を孕みましたが、それを得るために、奇跡が起こっていないか目を皿にして探す全力投球が求められるゲームになりました。要するに、シリーズの目指していたものとはズレた、唯一無二のゲームではあるがハードルが高すぎる作品になってしまいました。あと、後手が有利すぎるというシンプルな欠陥もありました。 なので、本作は売る側としても厄介なやつでして。言ってしまえば、最近のゲームマーケットやその他イベントにはあまり持ち込んでおりません。だってどう売り込んでいいのかわかんねえし。わからなすぎて、こんな長文をしたためる羽目になってしまいました。これで「広報キャンペーン」って言ってるのどうかしてるよ。 【宣伝】最後にまともな宣伝をしときましょう。「サイクリアン」は、ボドゲーマさんで委託通販中です。現在残り1個です。急いでポチろう!注文され次第、追加納品します。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- 2025/6/13 19:00
- 符亀
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- 「エンジェリアン」通販好評のお礼と、過去作ページ改修のお知らせ
- 皆様こんばんは、符亀です。ゲムマから早くも一月が経とうとしています。嘘です。20日は経ちましたけども。 この3週間、ゲムマ2025春の新作「エンジェリアン」をボドゲーマさんで委託通販していただいているのですが、ぶっちゃけ、売れてます。もっと言うと、売れすぎています。3週間そこいらで、ボドゲーマさんに委託している当サークルの作品で販売数1位になりやがりました。(6/8 0時追記:ボドゲーマさんの直近60日以内のトップセール商品BEST20にランクインしてました。売れすぎやろ!!!) 本当にありがたいことなのですが、こうなると逆に、過去作が売れてなさすぎだろという怒りも湧いてくるわけでして。というわけで、ここ数日は過去作の宣伝を頑張りたいと思っております。その投稿を𝕏にしてからもう3日も経ってるってマジっすか。 第一弾として、ゲムマの公式サイト上の「ミニマリアン」シリーズのゲームページを改修いたしました。具体的には、去年の不正アクセスにより削除されていた画像を復旧させました。遅え!!!これにより、今後の広報がやりやすくなるわけです。今後の広報の第一歩なわけです。マイナスをゼロに戻してドヤ顔してんじゃねえよ。なお、同じく委託をお願いしている「リーサルチェックメイト」は、今制作に使っているPCに画像を移していなかったので復旧できませんでした。カナシイネ。 という訳で、ボドゲーマさんに通販委託している過去作の方も、遊んでいただけますと幸いです。オススメは、弊サークルの代表作である12枚のトリックテイキング「シリアリアン」、および単純に出来が良くて気に入っている即死系チェス「レイリアン」です。あと「サイクリアン」のラスイチがお求めいただけると在庫補充できるのでオナシャス。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- 2025/6/7 21:45
- 符亀
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