符亀

ゲームマーケット2017秋より参加させていただいております、符亀と申します。
拙作「マジカルカナグル」「愛羅武粋逸」「ロングロングマホウ」「超超長城」「ツミカブリ」「リーサルチェックメイト」「インヴァージョン」「アマロン」「バックハンダー」「皇継の書状」「サイクリアン」「シリアリアン」「バーグリアン」「レイリアン」「フォッシリアン」「エンジェリアン」については、ゲーム一覧ページをご覧ください。

あがらせるゴーアウト「バーグリアン」【過去作広報キャンペーン3】
2025/7/6 19:00
ブログ

皆様こんばんは、符亀です。

新作の通販がむっちゃ調子いいのに旧作が動いてないから広報しようキャンペーン」、略して「旧作広報キャンペーン」の第二弾です。第一弾はこちらから第二弾はこちらからどうぞ。

ちなみに、これを書いている現在、新作「エンジェリアン」の通販は売り切れ中です。補充しろ。

 

第三弾は、現在ブームなゴーアウト (手札を出し切ったらアガリ系) から、他人にあがらせるゴーアウト「バークリアン」をご紹介します。

他人にあがらせる…じゃあゴーアウトじゃねえじゃん。

 

【ゲーム概要】

盗賊団テーマの、3〜5人用ゴーアウトです。

プレイヤーは盗賊団のメンバーとなり、カードを出して次の盗み先を決めます。

カードを出し切った人がリーダーとなり、その人が最後に出したカードのマークが盗み先となります。

リーダーになれば報酬がもらえますが、いっしょに盗みに入った子分にも分け前がもらえます。

さらに、リーダーには、自分より弱い子分に報酬を分けてやる義務も生じます。

リーダーとなって報酬を独り占めするか、あいつをリーダーに仕立て上げて分け前をいただくのか、手札をコントロールする詰将棋系ゴーアウトです。

 

【コンポーネント】

3種類のマークと1ー10の数字が書かれた、計30枚のカードを使います。

マークは「銀行」「宝石店」「博物館」の3種類で、盗み先を表します。「博物館」のサモトラケのニケっぽさとミニマルさの両立をがんばったアイコンがお気に入り。

数字は、まあ主張の強さとか勢力の強さとかそういうのを表してるんじゃないっすかね。よくわかんないです。

 

また、それとは別に、カードの出し方と得点計算の方法が載ったサマリー、および得点管理用のカードが1人1枚ずつ入っています。サマリーに得点の単位の表記揺れがあるのは秘密。

 

【ゲームの流れ】

カードを6枚 (5人プレイ) か7枚 (3〜4人プレイ) 配り、5枚を選んで残りを捨てます。

その後、5枚のうち「一番数字が大きいカードを表向きで場札に」→「残り4枚から好きな1枚を左隣に渡し」→「もらったカード以外の3枚を場札として表向きで公開し」ます。

要するに、4枚の公開された場札と、1枚の右隣から押しつけられた手札とになるように準備します。

 

準備ができたら、まずスタートプレイヤー (最初にカードを出す人) が自身の場札から1枚 ( ① ) を出します。

次の人は、

A. ①と同じマークのカード
B. ①より大きい数字のカード
C. ①と異なるマークのカードを、1種類1枚ずつ計2枚

のどれかを、自分の手札か場札から出せます。この時、自分の出したカードがどれか分かるように、自分の前に出してください。

なお、出せるなら必ず出さなくてはならず、パスができません。

 

これを、誰かの手札と場札が全て無くなるまで繰り返します。全て無くなった人が今回のリーダーに、それ以外の人は子分になります。

 

リーダーは、2点 (3人プレイ) か3点 (4〜5人プレイ) をもらいます。

子分は、自身とリーダーの最後に出したカードに応じて、得点がもらえたりもらえなかったりします。

・リーダーと同じマーク → 1点をもらいます。
・リーダーより小さい数字 → リーダーから1点をもらいます。

この2つは重複するので、最大で2点もらえます。

逆に、5人プレイの時に誰よりも大きい数字であがったりしようものなら、リーダーになったのに1点を失います。盗賊ってシビアな世界なんですね。

 

相手のカードを見ながらあがるかあがらせるかを考える、詰将棋風のプレイ感が楽しめるゴーアウトです。ゴーアウトか?

 

【振り返り】

ここからは、旧作の広報がゆえの振り返りタイムです。

まず本作の評価ですが、「キレイにまとまっており、符亀入門にオススメ」「良くいえば適切な難易度、悪くいえば中途半端」という感じです。

 

本作は「ミニマリアン」シリーズの3作目ですが、前2作がシリーズの立ち上げ時にポンポンと出た企画なのに対し、こちらは1作目の頒布後に企画を立てた作品でした。

なので、シリーズコンセプトが明確化してから作った作品であり、「ミニマリアンっぽいゲーム」を作ろうとして作った作品です。

 

そんなゲームを作ろうとしたとき、目についたのがゴーアウトというジャンルでした。

カードを出すだけというシンプルなギミック、UNOや大富豪で認知度も高いジャンルということで、ルール量を減らしつつも突飛なことをするにはちょうどいいのではと思いました。

 

そんなゴーアウトで「兼ね」られそうなものの筆頭は、プレイヤーが出したカードでしょう。(「兼ねる」は過去記事参照)

それを次のプレイヤーの制限だけでなく、得点計算にも絡むようにしよう。

なら、あがった人以外も得点がもらえた方が、このゲーム特有のギミックを味わえる人が増えるな。

じゃあ、あがる人の「あがり方」を他の人がコントロールするゲームにするか。

 

そういう流れで、本作のルールはできました。

 

本作の良かったところは、

・あがるなら小さい数字であがる
・あがらせるなら自分と同じマークの大きい数字であがらせる

という、何を目指したらいいかが明確なところだと思います。

配られた手札からどっちを目指すか決め、押しつけられたカードを処理しながらそこを目指す。

前作「シリアリアン」の課題であった「何をしたらいいのかわかりにくい」点が改善されており、また負けないためではなく点数を稼いでどう勝つかを考えるゲームなので、プレイ感もポジティブになります。

とはいえ、2つの目標のどちらを目指すかの選択や、達成できなそうなときの損切り、何より他の人のコントロールと、符亀ゲーに期待いただいているであろう戦略性は残っています。

これらの意味で、自画自賛ですが完成度は高めの一作なのではと思います。

 

が、逆にいえば、間口が広いはずのゴーアウトなのに難しすぎるとも言えます。

逆に、符亀ゲー愛好者には物足りない可能性もあります。少なくとも、「シリアリアン」よりブッ飛んではいないでしょう。

なので、シリーズ全体を通してみると、地味な印象を与えかねない作品です。

そういう意味では、3作目という味変タイミングでこれを出せたのは良かったかもしれません。味変の仕方がおかしい気はする。

 

適正な難易度なのか、日和っているのか、それともまだまだ人類には早いのか。ぜひ、皆様の目でお確かめいただけますと幸いです。

 

【宣伝】

最後に宣伝タイムです。

「バーグリアン」は、ボドゲーマさんで委託通販中です。

実際、「ミニマリアン」シリーズを初めてやってみたいという方にはオススメな作品ですので、ぜひ。それかシリアリアンという劇薬からいくか。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。