符亀 @Hu_games
ゲームマーケット2017秋より参加させていただいております、符亀と申します。
拙作「マジカルカナグル」「愛羅武粋逸」「ロングロングマホウ」「超超長城」「ツミカブリ」「リーサルチェックメイト」「インヴァージョン」「アマロン」「バックハンダー」「皇継の書状」「サイクリアン」「シリアリアン」「バーグリアン」「レイリアン」「フォッシリアン」「エンジェリアン」については、ゲーム一覧ページをご覧ください。
- 10分でできる重ゲー「サイクリアン」【過去作広報キャンペーン1】
- 2025/6/13 19:00
皆様こんばんは、符亀です。
「新作の通販がむっちゃ調子いいのに旧作が動いてないから広報しようキャンペーン」、略して「旧作広報キャンペーン」の第一弾です。ぶっちゃけすぎだろ。
第一弾は、シンプルながら頭を使う「ミニマリアン」シリーズの1作目、10分でできる重ゲー「サイクリアン」をご紹介します。
なお、新作の方はボドゲーマさんの週間販売ランキングで10位にランクインしたらしいです。調子よすぎだろ。
【ゲーム概要】
線路が描かれたカードを並べて線路をつなげていく、パズルゲームです。
4色の駅があり、自分の担当する駅どうしを一番長い路線で結べた人が勝利します。
カラフルな線路が絡み合うことで、最終盤面がとても鮮やかになるのも特徴です。
カードを並べた時のイメージ画像。ど真ん中 (裏面の一部使用) 以外は実物で再現可能。
【コンポーネント】
カード24枚、うち4枚が担当色のマーカー兼サマリーです。
カードは45 × 90 mmの変則サイズであり、45 × 45 mmのマスが2つ分になっています。
正方形のマスが1×2マス並んだ形なので、カードは横向きにも縦向きにも配置できます。どっちの向きで置いても線路がつながるようになっていますので、好きなように配置してください。
最終的な目的である「自分の駅どうしがつながった長い区間」を作るため、どの向きでどこに配置するのかをじっくり考えてください。
【手番にできること】
本作では、1人ずつ順番に、手番を3or4周行います。
手番では、手持ちのカード2枚のうちどちらかを、盤面に配置します。毎回2択から選ぶだけ!簡単!
自分の線路が伸びるようにすればいいので、端っこの自分の駅から一番遠いところにもう1つの駅が来るような置き方をすればOKです。簡単!
なお、カードを置く前に、自分の色の線路が描かれているカードを回転させられます。簡たえっ!?
そう、本作では、カードが回転させられます。
それによりダイナミックに路線図が切り替わるので、自分だけが得をするように路線図を書き換えてやるのがポイントです!
…置いたやつを回転させられるなら戦略性もクソもねーじゃん!と思われた方。
まず、回せるのは「自分の色の線路が描かれたカード」です。駅が描かれているカードには基本的に2色の線路が描かれているので、自分ともう1人とで利害を一致させれば、回されずにすみます。
さらに、ゲーム開始時に自分の色の線路しか描かれていないカードも配られるので、絶対に動かされたくないところはそれを使えばロックできます。
また、「回転中に他のカードにぶつかる場合は移動できない」というルールもあるので、挟まれたカードは動きません。なので、回転させたカードを挟み込むようにカードを置けば、回転したカードが動かないようにロックできます。
一気に変化する盤面と、その変化を防ぐロックとを考えながら、自分の路線が一番長くなる手を探す。
これが、本作が「10分でできる重ゲー」と呼ばれる理由です。
余談ですが、このキャッチコピーは、某所で試遊をしていただいているときに店員さんから「すごい!5分でできる重ゲーですね!」と言われたのが元になっています。
5分で終わるわけがないので、時間だけ伸ばして使わせていただきました。
なお、10分でも終わらないと思います。自称10ー15分ゲーなのに!?
【振り返り】
ここからは、せっかく旧作の広報をするということで、今だから書ける本作の振り返り的なことも書いていきましょう。
まず本作の評価ですが、「シリーズ1作目なのにやりすぎた」という感じです。広報の記事で書くことじゃなくね!?
本作、その前のゲムマで10作目記念かつ1作目でイラストをお願いしたPolygonotesさんとの合作という集大成な作品「皇継の書状」を発表して、もうあとは好きにやるか的な気分で作ったやつだったんですよね。
その「好きにやる」の内容ですが、端的に言えば「理論でボードゲームを作る」こと、つまりは「こう作れば面白くなるはず」という理論を実験するようなボードゲームを作ることでした。
その「理論」とは、ネウロ・暗殺教室・逃げ若の作者である松井優征氏の「兼ねる」です。
詳しくは氏が行われた講義のまとめを読んでいただきたいのですが、端的に言えば「複数の要素を兼ねることで、読者のコストを減らしながら面白さを濃密にする」テクニックです。
松井氏は、このテクニックを「防御力」、つまり「面白くなさを取り除く」ものとして紹介しています。
ですが私は、「兼ねる」を、面白さを生み出す「攻撃力」のためにも使えると考えました。ボードゲームにおいては、特にです。
というのも、ボードゲームの面白さを生む要素として、よく「ジレンマ」が挙げられます。この「ジレンマ」とは、極論すれば「あちらを立てればこちらが立たず」という状態です。
そう、ある選択に複数の要素を「兼ね」させれば、一手に複数の観点からの「ジレンマ」が乗り、濃密な体験ができる。これが、私が「兼ねる」は「攻撃力」だと言う理由です。
「ミニマリアン」シリーズの表テーマは「シンプルながら頭を使う」ですが、裏テーマはこの「兼ねる」です。正確にはもう1つ裏テーマがあるのですが、それは秘密です。
「サイクリアン」では、1つのカードに複数の線路を載せ、自分の伸ばしたい線路以外にも干渉することで、「兼ねる」を実現しようとしました。
しかし、人間の脳には限界というものがあるため、他の路線まで見て最適な手を打つのは不可能でした。要するに、「兼ねる」に失敗しました。
では、本作は失敗作なのでしょうか。私は、そうとも言えないと思っています。断言しろよ。
その理由として、別の「兼ねる」が生まれたからです。
それは、時間差によるカードの役割の変化です。
例えば、最初の手番で置いたカードが、終盤にもう一度そこまで路線が返ってくることで路線のハブになる。
例えば、別の人が置いたカードが、いま見返すといい感じに回転して路線を伸ばせるところにある。
このように、「そんなつもりがなかったのに!」が起こりまくったのです。
こんな路線の再発見はヒラメキを生み、計画的に1本の路線を伸ばしている時とは比べ物にならないほどの快感を生じさせます。
この快感を、カードをたった数回置くだけで生じさせる可能性がある。本作は、そんな奇跡を起こして脳汁を出させるゲームになりました。ヤバいやつじゃねえか。
箱の下部のプロジェクトネーム欄にも、「奇跡生成器」と記載が。プロジェクトネーム欄ってなんだよ。
総括として、本作は「兼ねる」を裏テーマとしたシリーズの1作目でありながら、想定した「兼ねる」を作ることには失敗しました。
怪我の功名として莫大な快感を生める可能性を孕みましたが、それを得るために、奇跡が起こっていないか目を皿にして探す全力投球が求められるゲームになりました。
要するに、シリーズの目指していたものとはズレた、唯一無二のゲームではあるがハードルが高すぎる作品になってしまいました。
あと、後手が有利すぎるというシンプルな欠陥もありました。
なので、本作は売る側としても厄介なやつでして。
言ってしまえば、最近のゲームマーケットやその他イベントにはあまり持ち込んでおりません。だってどう売り込んでいいのかわかんねえし。
わからなすぎて、こんな長文をしたためる羽目になってしまいました。これで「広報キャンペーン」って言ってるのどうかしてるよ。
【宣伝】
最後にまともな宣伝をしときましょう。
「サイクリアン」は、ボドゲーマさんで委託通販中です。
現在残り1個です。急いでポチろう!注文され次第、追加納品します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。