符亀

ゲームマーケット2017秋より参加させていただいております、符亀と申します。
拙作「マジカルカナグル」「愛羅武粋逸」「ロングロングマホウ」「超超長城」「ツミカブリ」「リーサルチェックメイト」「インヴァージョン」「アマロン」「バックハンダー」「皇継の書状」「サイクリアン」「シリアリアン」「バーグリアン」「レイリアン」「フォッシリアン」「エンジェリアン」については、ゲーム一覧ページをご覧ください。

ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.2-2)ができるまで
2025/5/4 10:25
ブログ

皆様こんにちは、符亀です。

この記事では、新作のトリテ「エンジェリアン」…ではなく、なんかもう1個あーきっと.ゲームズさんのブースから出ることになった新作「ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.2)についてご紹介します。

「なんか出ることになった」のあたりも、本記事で説明しようと思います。

 

・制作経緯1ー新しいゲームVol.0ー

まず前提として、「ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.2)」は、その名の通り「ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.1)」の続編です。

そして私は、その初回のテストプレイを行った、つまりビンゴカードシリーズが世に出た瞬間に立ち合わせた人でした。

その記念すべき瞬間は、去年4月の有明亭さんで開催された試遊会でした。

一通り遊ばせていただき、食事休憩をしていた私に、同じく食事をしていたあーきっと. ゲームズさんが「すみません、せっかくなのでテストプレイしてもらっていいですか?」とお声がけしてくださったのがきっかけでした。きっかけだったと思います。どっちもそのことを投稿してないせいで今では史料がないのですが、たぶんそんなきっかけだったのでしょう。

そこでVol.1-1を遊ばせていただき、ビンゴカードをコンポーネントとして使う発想に衝撃を受けました。

ゲーム自体は、初回だったのでまだ荒削りだった、だったはずです。たぶんそう。あやふやな記憶で他人のゲームをディスるのよくないと思うよ。それもそう。

ですが、既にビンゴカードを使う意味がちゃんとありつつも新しい体験が生まれていて、その日一番面白かったんじゃないかレベルで感心いたしました。そっちはちゃんと覚えています。

 

・制作経緯2ー新しいゲームVol.1 afterー

時は半年流れ、10月26日。私は、完成した「ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.1)」とあーきっと. ゲームズさんに再会しました。

その試遊会の後、あーきっと. ゲームズさんを含む数名の制作者で夕食をとることになりました。そこで、あーきっと. ゲームズさんとジャンル化の話をしました。

この「ジャンル化」の話とは、要はフォロワーとなる誰かが同ジャンルを冠する作品を作ることで、ゲームに新たなジャンルが生まれ、1作品目がその元祖となる。そういう話です。

このジャンル化の文脈において、「ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.1)」はその元祖になりうる作品だと熱弁したところ、あーきっと. ゲームズさんよりフォロワーとなるご許可をいただきました。

 

なので、その夜にルールの概要を書き上げ、叩きつけました。

 

残念ながら、このゲームはクソゲーでした。計算がムダに面倒だったうえ、最終的にビンゴするかで勝敗を決めること以外に、ビンゴカードでやる意味がありませんでした。

あーきっと. ゲームズさんにも、別の試遊会にて「特定の数字が空けられない数になっており、ビンゴカードの配置によっては詰む」というご指摘をいただきました。なんでこいつらは試遊会で次の作品のレビューを共有しているんだ。

 

ただ、その時点ではもう1作、Vol.2-2の原型となるゲームのアイデアができていました。

なので、次はクソゲーすぎることがないようにテストしてからルールを送りますね、とお伝えしていました。

 

・制作経緯3ー新しいゲームVol.2-2.0ー

そして、時はまた半年流れました。10月のスピード感はどこに行ったんだよ。

またもや4月となり、有明亭さんの試遊会が開催される時期となりました。

しかし、試遊会シーズン頭での開催だったため、参加者が少なく、参加される方も最速で1時間後に到着される予定でした。

そして私事ですが、私は4月末に転居する予定で、今後は今までのペースでテストプレイ会に行くのが難しくなりそうでした。

 

じゃあ、この待ち時間でテストしてもらうか。

そう思い、片道10分走ってビンゴカードを買いに行き、半年塩漬けになっていたビンゴカードゲームをみっちりテストプレイしてもらいました。

とにかく時間があったので、ルールを変えながら何度もテストしていただき、まあこれでいいだろというレベルまで仕上がってしまいました。

なので、また2日後にルールを書いて叩きつけました。ここだけは毎回早いな。

 

ゲムマ直前のお忙しい時期かとは思いましたが、忘れる前に送っといた方がいいだろうと思い、ゲムマ終わりに調整して次回の秋に出してもらおうと思っていました。

 

・制作経緯4ー様子がおかしいー

5日後にお返事をいただき、頒布方法についての質問をいただきました。

「あーきっと. ゲームズさんの方で売ってちょ (大意)」という返信をしたところ、「じゃあ制作中のと合わせて2つセットで出すわ (大意)」と返ってきました。

なるほど、これでもう秋の新作が半分できたのか。うらやましいぜ。そう思いながら、DMにハートの絵文字でお返ししておきました。

 

その後、2日後 (4/24) にルールの詳細についてご質問があり、仕事が早いなあと思いながら返信しました。

その後、3日後 (4/27) に説明文形式に書き起こされたルールが送られてきまして、仕事が早いなあと思いながらGoodの絵文字で返信しました。

その後、2日後 (4/29) に説明書が送られてきまして、仕事が早いなあと思いながらハートの絵文字で返信しました。

その後、1日後 (4/30) にゲームページが作られていまして、仕事が早いなあと思いながら読んだら発売時期が2025春になっていて
発 売 時 期 が 2 0 2 5 春 ! ! ! ! ? ? ? ? ? ?

 

そりゃ仕事も早いぜ。そして完全に俺のせいで地獄スケジュールになっちまったぜ。

そんなわけで、ビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.2)」、日曜日R24の「あーきっと.ゲームズ」ブースで頒布予定です。500円です。安いぜ!

 

 

・デザイナーズノート的なやつ

ここで終わるとやっつけ仕事の一発ネタに思われるかもしれないので、デザイナーズノート的なのも書いておきます。

 

まず、本作は「ビンゴカードを使った新しいゲーム」シリーズの1作であり、初の外部クリエイターによるゲームでした。

そのため、本家あーきっと. ゲームズさんとのネタ被りを避けつつ、よりシリーズを拡張させるようなゲームを作る必要がありました。

 

本家であるあーきっと. ゲームズさんは、ビンゴカードの性質 (各列の数字は15個刻みの範囲から5つ選ばれる、など) や日本でメジャーでないビンゴの遊び方など、ビンゴカードを1作目からしゃぶり尽くすような制作をされていました。

しかし、氏が手をつけていなかったところがあります。それは、「ビンゴカード」という物理媒体です。

これまでの「ビンゴカードを使った新しいゲーム」は、ビンゴカードを「数字が特殊な規則で並んだカード」として捉えていました。

ですが、そもそも「ビンゴカード」はビンゴ「カード」です。この1枚の紙で何ができるのかを考えてこそ、「ビンゴゲーム」というジャンルが拡張されうると考えました。

なので、私の制作する「ビンゴカードを使った新しいゲーム」には、物理要素を入れようと決めました。

 

これは、私がゲストとして参戦する際にも、有効に働くと思われました。

というのも、私の普段作る作品は小難しく、クセが強いです。ハッキリ言って、ウチ目当てのお客さん以外には合わない可能性があります。

(最新作の「エンジェリアン」は、ダウトとトリックテイキングを組み合わせ、「ダウトを言われても得になるような数字を宣言しながら手札を調整しろ」「それをトリテのシステムで邪魔したり利用したりしろ」というゲームになっています。要求するハードルが高すぎるだろ頭おかしいのか。)

なので、他の方との合作である「皇継の書状」や「RATORO ラトーロ」では、あえて難易度を落としてクセを抜いています。

そして、アクションゲームにすれば、頭を使う要素がほぼなくなるために難易度が下がります。これまでアクションゲームを作ったことがない私への挑戦にもなり、優れたアイデアに思えました。

なお、最終的にはどうにかして指がつらない持ち方を探す激ムズゲーになりました。大丈夫、頭はあんまり使わねえから。クセはねえって。

 

そこからはトントン拍子でルールができたのですが、一点、テストプレイで大きく変わったルールがあります。

それは、元々の「1ビンゴしたら勝ち」から、「2ビンゴしたら勝ち」になったことです。

 

原案では、「とにかく早く終わらせたい」「が、無茶すると即死する」というバランスを求め、ゴールを1ビンゴというすぐ目の前に設定していました。

しかし、テストしてみると、このゲームで一番楽しいところは「1回開けた穴に指を挿し直して、なんとか狙いのところに穴を開けられるようにする」「どう見ても無理だろというところしか開けられる数字が残っていないので、なんとかする」といった四苦八苦部分でした。

なので、それが起きるまでゲームが続くように、ゴールを2ビンゴにまで遠ざけました。

その結果、負けかけていてもヤバい数字に挑戦させられれば即死させられるかもしれないという、逆転要素も生まれました。パス?許すわけねえだろ。符亀が。

また、このルールに変更するにあたり、「(1ビンゴで終わりだと) もっとやりたかった」とテスターさんに言ってもらえたのもありがたかったです。「もっと遊びたい」。ゲームにとって、これほどの褒め言葉はございません。

 

そんなわけで、意外にもちゃんとデザインされたVol.2-2を含む2作が収録されたビンゴカードを使った新しいゲーム(Vol.2)」、日曜日R24の「あーきっと.ゲームズ」ブースで頒布予定です。500円です。安いぜ!

私の土曜日K29に来ても売っていません。ウチで置いてる新作は、ダウト型トリックテイキング「エンジェリアン」です。カード26枚とプリント木駒5つが化粧箱に入って2000円です。高い…ってほどでもない微妙な値段だぜ!

 

オチに困ったから終わるぜ!!