サイシュピール @saispiel
合同サークルサイシュピールです。静岡を拠点とする、 スタジオくるくる(@StudioKurukuru) 輪骨舎(@lancelot_szok) Megaromatic game(@Megalomaniac_G)の3サークルで結成しています。
- ゲーム紹介『テキサスの流儀』
- 2025/4/22 18:50
Megalomaniac Gameは5月17日に開催される「ゲームマーケット2025春」にて新作『テキサスの流儀』を販売します!

この記事では今作のゲーム内容を詳しく解説!
これさえ読めば、大体どんなゲームかわかる!といった内容になっています。
また同時に公開されているデザイナーズノートの方では、もう少し掘り下げてゲームデザインについて解説!良ければそちらも併せてお読みください!
【デザイナーズノート:テキサスの流儀】 https://gamemarket.jp/blog/192802
さて、前置きはこのくらいにして早速ゲームの紹介に移りましょう!
【①概要】
タイトル:『テキサスの流儀』
プレイ人数:4~5人
プレイ時間:30分
対象年齢:10歳以上
価格:2500円
【②ゲーム内容】
まず初め述べておきたいこと、それは今作にはベースになっているゲームがあります!
それは「テキサスホールデム」!いわゆるトランプで遊べるポーカーの一種です。
日本でメジャーな、5枚の手札を入れ替えて手役を作っていく、いわゆる「ドローポーカー」とは少し違ったルールで、全員が使える5枚の場札が存在するのが特徴です。
昔は知る人ぞ知るといった感じのゲームではありましたが、近年はアプリや専門店、YouTubeの存在もあって知名度をメキメキ伸ばしている遊びであります。
ボードゲームでも前回のゲームマーケット2024秋で「テキサスホールデム」をベースにした面白ゲーム、「the Gang(ギャングポーカー)」が話題になったことで知っている人も多いのではないでしょうか?
そして今作『テキサスの流儀』は「テキサスホールデム」「the Gang」の流れを汲むゲームと言えるでしょう。
コンセプトは「よりシンプルに、よりスピーディーに遊べるテキサスホールデム」!
「テキサスホールデム」を遊んだことある方、遊んだことない方どちらにもオススメしたいゲームに仕上がっています!
【③ゲームの流れ】
では実際にゲームの流れを解説……と行きたいところですが、実は今作、ゲームの進行方法については「テキサスホールデム」とほとんど同じだと思って貰って構いません。

2枚の手札を配り、スタートプレイヤーから手番を行う……
手番では「レイズ」や「コール」を行う。手札に自信が無い時は「フォールド」して今回のゲームから降りることも出来る……
段階的に場札が公開され、これを見ながらまた手番を行う……
最後まで残ったプレイヤーは手札を公開して、最も強い役を持つプレイヤーが勝利する……
そしてこれを繰り返して点数のやりとりする……
そう!聞けば聞くほど、テキサスホールデムそのままと言えるでしょう!
もちろん細かい所にいくつも違いはあります。ただ大きな目で見るとほとんど同じといってもいいほどです!
それではこのゲーム特有の部分はどこにあるのか?
ポイントは「役」、つまり勝敗がどう決まるかの部分にあります。
【④テキサスホールデムの役】
その前に言っておきたいのは、そもそも『テキサスホールデム」での手札の強弱って結構分かりにくいと思いませんか?
『テキサスホールデム』、というか「ポーカー」では全部で10種類の役が登場します。これは初心者にとっては、ギョッと驚いてしまうくらいの多さです!
実際似たような条件の役がいくつかあったりとそこまで複雑ではないですが、「まず10種類の役を覚えてね」というのはハードルが高く感じます。
そして覚えた役の殆どは実際のゲームで成立することが滅多にないことも、馴染みが無い人にとっては「なんじゃそりゃ」という気分になるのではないでしょうか?(麻雀も似たようなことが言えますね)
加えて、テキサスホールデム特有の「7枚の中から最強になる5枚を選ぶ」という部分も初心者にとってはかなり難しいルールだと感じます。
「どの組み合わせが一番最強になるのか」、これは慣れてしまえば瞬時に理解出来るでしょうが、初心者はこれを読み解くために時間がかかってしまう。
これは「悩ましさ」に対してではなく「ゲームの処理を理解」するために費やしている時間です。
初心者がこういった部分で考えすぎてしまうのは、あまり望ましいとは言えないでしょう。
ただ上記に挙げた「沢山の役」や「7枚から5枚選ぶ」というシステムは「テキサスホールデム」というゲームをより悩ましく、戦略的なものにしているのも事実です。
コンセプトである「よりシンプルによりスピーディーに遊べるテキサスホールデム」を実現するためには、シンプルにするだけでは駄目で、この悩ましさや戦略性を程よく楽しめるようにする必要があると考えました。
【⑤テキサスの流儀の役】
そう言った事情を踏まえた上で、今作『テキサスの流儀』の役を解説しましょう。
今作には全部で5つの役が登場します。

登場する役の強さ関係は上記の通りで、ペアが1番強い役で、ノーハンド(ブタ)が最も弱い役になります。
本家『テキサスホールデム』の10種の役と比べると半分に減っていて、初めて遊ぶプレイヤーでも比較的覚えやすいかと思います。
そして役の条件ですが、これもウルトラシンプル。
今作では「7枚から5枚を選ぶ」のではなく、ただ2枚の手札だけを参照します。
例えば最強の役である「ペア」は、手札2枚の数字が同じであればそれだけでOK!
他の役も確認するのは、2枚の手札が条件を満たしているかどうかだけです。
ただこれだけ聞くと、初めの手札で全ての勝負が決まってしまうように思えるかもしれません。ここに戦略性を加えるのが『役アイコン』という独自の要素になります。
『テキサスの流儀』では『テキサスホールデム』と同様に5枚の場札(コミュニティカード)が捲れます。『テキサスホールデム』では手札とこれを組み合わせて役を作るわけですが、先述の通り、今作は手札のみで役を作ります。
では5枚の場札はどのような働きをするのでしょうか。

まず場札に置かれたカードの数字や色は一切意味を持ちません。重要なのはカード下部に書かれた『役アイコン』です。(上記のカードの牛の下のに書かれているアイコン)
「役アイコン」は「ノーハンド」を除く4つの役に対応するものがあり、それぞれアイコン毎に一定の確率で登場します。(役アイコンが書かれてないカードもあります)
そして重要なのは「場札」に出現しなかった役は、その勝負では「存在しないもの」として扱われます!
例えば5枚の場札の中に「フラッシュ」と「ストレート」の役アイコンだけが出現したなら、その勝負に存在する役は「フラッシュ」「ストレート」「ノーハンド」の3つだけになります。
つまり手札の2枚が同じ数字で「ペア」の条件を満たしていても、この場合「ノーハンド」として扱われることになるのです!
これが実際どのようなジレンマを産むのか、実際のゲームの流れに沿って見てみましょう。
例えば以下のような手札があなたの元に来たとしましょう。

2枚の手札は同じ色であるため「フラッシュ」の条件を達成しています。
あなたはこれが成立することに掛けて勝負を続けます。
そして場札が3枚公開されると、その中に「フラッシュ」の役アイコンはありません!
さらに対戦相手の1人が「レイズ」を宣言し、掛け金を上げてきました。
もし残りの2枚で「フラッシュ」のアイコンが捲れれば、きっと勝負には勝てるはずです。ただしもう場札は5枚のうち3枚が公開されているので先ほどより役が成立する確率は低下しています。
リスクを承知で勝負を続けるか、それとも失点を減らすため勝負から降りるか、頭を悩ませることになるでしょう。
そしてまた別の状況を想定してみます。
今回の手札を確認すると、2枚の数字が連番で、これは「ストレート」の条件を満たしています!

そして5枚の場札の中にも「ストレート」の役アイコンが登場したので、無事役は成立しています。ただ問題は5枚の中に「ストレート」だけでなく「ペア」のアイコンも登場していることです!
「ペア」の条件である「手札が同じランク」になるのは約8%で、相手がそれを持っている可能性は低いはずです。ただ、なんだか相手は強気に賭け金を上げてくるし、もしかしたら「ペア」、そうでなくても「ストレート」くらいは成立しているのかもしれません……
勿論こちらがそう考えるの見越してブラフを貼っている可能性もあります!勝負に出るべきか、安全策を取るか、これもまた悩ましく難しい選択です。
このような「場札の捲りによる手札の強弱・期待値が変化する」「賭け金の上昇による駆け引き」「ブラフ」といった要素はまさしく「テキサスホールデム」と同じゲーム性だと言えるでしょう。勿論「テキサスホールデム」と比べれば要素はシンプルになり、奥深さや戦略性と言った部分は少なくなっているかもしれません。
ただ、だからこそ誰にでも分かりやすく、「テキサスホールデム」が持つ面白さを体験できるゲームに仕上がっていると思います!是非このミニマムな体験を味わってください!

【⑥失敗が許される得点システム】
今作の最も中核のシステムは先ほど紹介した「役アイコン」なのですが、その他のシステムにも色々とこだわりがあります。次はそのうちの一つである「得点システム」を紹介します。
「テキサスホールデム」やポーカーをベースにしたボードゲームでよくある得点システムは、プレイヤー毎に「得点チップ」を持ち、それを互いに奪い合うという形式です。今作も基本的にはそれに似た形式ではあるのですが、この「得点を奪い合う」というルールは何かと問題が発生しやすいものと言えます。
その最たるものは「誰かの失敗が、誰かの利益になる」という点です。
例えば誰か二人のプレイヤーが互いに「オールイン」した時、その勝敗でゲーム全体の勝負が決まりかねません。
その勝負に参加している二人なら納得がいくでしょうが、他のプレイヤーにとっては自分の関係のないところで順位が決まってしまうのは、納得できるものではないでしょう。
つまりこれは「キングメーカー」と言われる問題で、ポーカーの得点形式はこれが発生しやすいシステムだと言えるでしょう。
そしてもう1つは、プレイヤーがある程度自由にベットする額を決められるという点。
これは運要素の強いポーカーにおいて、ある程度それを緩和してくれる効果があるのは確かですが、結局終盤にオールインが多発し、ピーキーな展開になりやすいという問題点を抱えています。
考えてみてください。プレイ時間が30分~45分ほどのゲームで、最後の一勝負、例えばたった2分の勝負で全ての勝敗が決まるのだとしたら、それまでの積み重ねがまるで意味が無かったかのように思えてしまうでしょう。
また途中で大きな点差が離れてしまうと、逆転するのが難しく、残りが消化試合になってしまいがちなのも問題と言えます。

今作ではそういった問題を解決するために、「ラウンド制」と「順位点」という要素を取り入れています。
ゲームは全部で3ラウンド行われ、1ラウンドでは4回の勝負を行います。
そしてここがポイントなのですが、ラウンドが終了するとその順位に応じた勝利点を得た後、今までの点数が一度リセットされます!
つまり次のラウンドでは今までの点数差は無くなり、また全員同じ状態からスタートするわけです。(麻雀の「東風」や「半荘」といったイメージです)
この形式は色んな良い効果をゲームにもたらしています。
まずゲーム途中での「失敗」がある程度許されること。途中で大きく負けた場合、そのラウンドで勝利するのは難しくなるでしょうが、次のラウンドはまた新しい気持ちでスタートできます。一度の失敗をゲーム終了まで引きずる必要はないのです。逆に圧倒的に1位を獲ろうと、ギリギリで1位を獲ろうと、1位の順位点は変わらないので、点数を大きく離されてもまだ逆転できる可能性があると言えるでしょう。
またラウンド終了時の順位という短期的な目標があるため、ゲームの焦点がよりわかりやすく、展開が間延びしにくくなっているのもアピールポイントです。
「テキサスホールデム」はやり込めばやり込むほど面白いゲームですが、逆に初めて遊ぶ時はイマイチ勝負所が分かりにくかったりします。ただ今作は「失敗が許される得点システム」「短期的な目標」といった要素によって初めて遊ぶ時から比較的理解しやすいゲームになっています!「テキサスホールデムはなんだか難しそう……」といったイメージを抱いている方にこそオススメです!

【⑦ゲームのテンポをよくする工夫】
最後に解説したいのは「ゲームのテンポ」についてです。
まず「テキサスホールデム」は、様々なテクニックが介入する余地があるとはいえ、基本的には運の要素が強いゲームです。
そしてこういったゲームを改良するには主に二つの方法があります。
1つは「プレイヤーが介入する余地を増やして戦略性を増やす方法」、端的に言えば運の要素を抑えるように調整する方法。
もう1つは「運要素は割り切ってゲームのテンポをよくする方に注力すること」です。
そして今作で取り組んだのは後者でした!
何故なら手札が配られて役に強さが存在するポーカーというゲームでは、どこまでいっても運の要素は付きまといます。であるならそこを解消するために複雑なルールを追加するより、割り切ってしまう方がスマートな方法だと自分は考えました。そもそも運の要素が強いゲームというのは、それだけでは悪いゲームではありません。最悪なのは、勝負の殆どが運で決まるのに、ルールや処理が複雑だったり、テンポが悪くダラダラ進行することです。

そのため今作はゲームのテンポを良くするためのしかけをいくつも取り入れています。
その全部は紹介しきれませんが、特徴的なものをあげるなら「シャッフル」です。
ポーカーでは原則として1回の勝負が終了するたびに、毎回シャッフルを行います。
これはゲーム的にしょうがないのですが、めんどくさいと感じる部分でもあります。
そもそも「シャッフル」という行為は、あまりに多くのゲームに取り入れられてるため言及されることは少ないですが、結構な手間です。
それを待っている時間は何もすることが出来ないし、だからといって適当にすませてゲームが台無しになるのも最悪でしょう。
特にポーカーというゲームは1回の勝負がとても短いので、その度にシャッフルが発生するのはゲームのテンポを削いでいる。今作はそこを問題だと捉えて、「シャッフル」の回数を出来るだけ減らしています。
具体的に言えば、同一ラウンド中は山札をシャッフルしません。そのためゲーム中のシャッフルの回数はたった3回に抑えられています。
通常のポーカーでシャッフルを行わないまま、次のゲームに行こうとすると、カウンティングの重要度が増すことでゲームが複雑になり、かえってテンポが悪くなる可能性がありました。しかし今作は先に述べたように手札は初めに配られる2枚だけでそれ以上増えないため、カウンティングはあまり重要ではなく、このルールを実装することが出来ました。
「シャッフルをしない」、たったそれだけではありますが、ゲームのテンポは格段に向上しているはずです。
今作ではこういった「ゲームでは無い時間」を減らすことを徹底黄的に取り組みました。テンポよく、退屈することなく「テキサスホールデム」を楽しむことが出来るはずです。

【⑧まとめ】
さあ最後に言っておきたいのは、今作は「新しさに満ちたゲーム」ではないということです。
何度も言っているように今作には「テキサスホールデム」という元ネタのゲームがありますし、一部のルールはまるっきりそのままだったりします。
この記事で紹介したアレンジ部分を目を引くほど新しいアイデアがあるかと言われれば、全然そんなことは無いと思います。
同人ボードゲームに新しい刺激を何より求めている方には少し物足りなさを覚えるかもしれません。
ただ自分としては、「よりシンプルに、よりスピーディーに遊べるテキサスホールデム」という当初のコンセプトをしっかり実現出来た良いゲームだと思います。
新しさや派手さはあんまりないですが、地に足がついた良いゲームだと自信を持って言えるので、是非興味を持ってくれると嬉しいです!

以上が新作『テキサスの流儀』の紹介でした!
同時公開されているデザイナーズノートでは、ゲーム部分をもう少し掘り下げて解説。この記事を読んで興味を持ってくれた方は是非そちらも読んで頂けるとありがたいです!
【デザイナーズノート:テキサスの流儀】 https://gamemarket.jp/blog/192802
繰り返しになりますが、このゲームは2025年5/3に開催される【ゲームマーケット2025春】にて販売予定です。
価格は2500円!【土Q43-サイシュピール】ブースにてお待ちしております。