空創Lab

今回は1卓販売+1卓試遊になります。 「王立魔術師養成学院~詠唱研究科~」を中心に展示します。 ゲームマーケット2024秋で好評を博した「魔術師の杖」の新作も多数用意します。 今回、試遊プランは初めての試みですので、気になってたゲームのお試しがしたい方は是非お立ち寄りください。

【ゲムマ2025春 新作開発記】『はらぺこペンギン(仮)』ができるまで⑤ ―光の端が、ようやく見えた―
2025/4/18 14:06
ブログ

4月5日(土)。

制作スケジュール的にも、心の余裕的にも、まさに崖っぷちだった。

この日が勝負。

ここで手応えを掴めなければ、印刷・制作・梱包を含めたすべての工程が間に合わなくなる。
頭では理解していても、現実はまだ遠かった。
だからこそ、この日を“デッドライン”と決めて、全身全霊で挑むことにした。

会う約束をしていたのは、信頼する仲間たち。
これまで何度もテストプレイをお願いしてきた、頼れるクリエイターたちだ。

テーブルの上には、最新版の試作品が並べられた。

今回のコンセプトは、前回までの「ベルトコンベア」案を捨て、「空いている食堂の席にペンギンが着席し、食事を待つ」という形式に変更したものだった。

プレイヤーは協力して、空腹のペンギンたちに食事を提供し、満腹になったペンギンは満足して帰っていく。
逆に放置しすぎると、怒って帰ってしまう。

完全協力型。対戦要素は、思い切って捨てた。

その分、ルールはシンプルになり、展開も分かりやすくなった。
ゲーム全体のテンポもぐっと良くなった気がする。

そして何より――

「お、これは……ちょっと面白くなってきたかも?」

久しぶりに、そんな手応えが感じられた。

やっとだ。
やっと、“光”が見えてきた。

この方向性で、もう一度ルールを細かく詰め直せばいけるかもしれない。
ただ、それでもまだ“完成”とは言えない。

「どのくらいの頻度でペンギンがやってくるのか?」
「どのペンギンが、どの食材を、どれだけ欲しがるのか?」
「満腹にする難易度のバランスは?」
「カードの枚数とゲームの長さは?」

そして、プレイ中に「ドラマ」は生まれるか?

協力型ゲームの魅力は、成功と失敗の物語、そしてギリギリの中で得られる達成感にある。

それらを確かめるためには、あと数回のテストプレイが必要だった。

だが、この日、何よりも大きかったのは、「これは、ちゃんとゲームになる」という確信。
それは何より大きかった。

焦りと迷いでごちゃごちゃになっていた頭の中が、少しずつ整理されていく。
余分なものを削ぎ落とし、本当に必要なコアが見えてきた。

ようやく、“ゲーム”が形になりはじめたのだ。

――⑥へ続く。