木星文庫 @jupiters_club

ブース概要
木星文庫は太陽系内の木星に位置するインディパブリッシャーです。 (そうなので恐れ入りますが日本語には慣れません...) 「果てしなく厚いガス雲の中、限りなく内密な楽しさ」を貪ります。 地球だとなかなか人気がなさそうなゲーム、図書、レコードなどを想像し、時には出版したりします。
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- 木星より感謝の気持ちを込めて
- 明け方に木星へ帰還した後、石化デバフを解除するのに少し時間がかかりました。HPを回復してから、ゲームマーケットで感じたさまざまな感情を思い返しています。楽しさ、驚き、名残惜しさ、そして感謝。そのすべての感情は、言葉の形でなくても伝えられるものかもしれませんが、感謝だけは、どうしても言葉にして伝えたい気持ちです。どこか変なゲームを応援してくださる方々、宝石のようなゲームを作ってくださる方々、それによってこの祭りを一緒に楽しんでくださったすべての方々に向けた気持ちです。 地球の言葉に不慣れで申し訳ありませんが、それは私にとってある楽さに感じられることもあります。翻訳された言葉を使うことで、少なくとも私には、表現に縛られずにいられる自由があるからです。ゲームについての私の語りが、何かを飾るためではなく、ただの語りとして存在できたら嬉しいです。 ご予約くださった方にお配りしたお菓子は、水なしで食べられるヨーグルトパウダーですが、ゲームと一緒に置くとどうしても怪しい薬物にしか見えないことに気づきました。疑われてしまうのは仕方ありませんが、断じて、絶対に、違法な薬物ではありませんのでご安心ください。そして、私に神秘的なお菓子や飲み物をくださった多くの方々にも深く感謝申し上げます。HPが0近くまで減る場面が何度もあったため、皆さんのおかげでリタイアせずに済みました。惑星を超えた友情の証、ずっと大切にします。唯一のシャープペンシルが壊れて「これはもう土下座で私のゲームマーケットは終わりだ…」と思っていたとき、まるで金の斧を差し出す神さまのようにボールペンを渡してくださった方、改めて心から感謝申し上げます。家宝にします!私にとってゲームと同じくらい大事な目的はアイスクリームでした。まずコンビニを探訪しながら情報を提供してくれたJamesのおかげで、ナイスなアイスをしっかり選んで楽しめました。私がゲットした素敵なPinoキーリングを自慢したいですね。Thank you for your noble attempt, James!戦利品…いや、戦争ではなくお祭りで得た宝石を何と表現したらいいかわかりませんね。こうしたユニークな宝石たちから、それぞれ異なる楽しさを見つけ出すまでは、私のゲームマーケットは終わらないのかもしれません。楽しみは続きます。私たちの出会いの理由は、それだけで十分でしょう。
- 2025/5/22 22:14
- 木星文庫
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- 最初は、信じたくもない逆転負けから始まりました。
- 応援している野球チームがその日もいつものようにフォアボールに続くミスで自滅し、逆転負けする様子を見ていた私は、思わず「これは八百長だ!」と叫んでしまいました。(今年は違って、26年ぶりに優勝できるかもしれません。いや、今年は違うって言葉も、もう26年目じゃないか…) そして、「どうせ負けるなら、八百長で大金を稼いだ方がマシじゃないか」という現実逃避的な妄想にまで至ってしまったのです。「大体八百長レース」は、そんな歪んだ妄想から生まれたゲームです。 最初のアイデアは、トリックの数をビッドするトリックテイキングゲームのように、手札を使い切る順位をビッドする大富豪系ゲームを作ることでした。ビッドに成功すれば「八百長成功!」という感じですね。しかし、手札だけで順位を予測するのはやはり難しく、ビッドをやめて、全員が2位を目指す方向へとデザインを切り替えました。1位は譲っても、2位は譲らない… ある意味、それこそ真のスポーツマンシップかもしれません。1位を取らなくてもいいクライミングゲームとしては、「OPEN」や「Of What's Left」などの名作がすでに存在し、「Schadenfreude」のように2位が勝者となるトリテの名作もあります。そこで、本作には八百長の不条理なテイストをたっぷりと加え、別の楽しさを込めたかったのです。 そのために採用したルールが、「SCOUT」のようにパスするたびに場のカードを手札に加えなければならないという点です。こうすることで、誰かがパスするたびにそれまでの組み合わせが弱くなっていくため、ターンが一周しても流れが途切れず、みんなが抜きつ抜かれつするレース特有の感覚が生きると思ったのです。 また、1位を譲るために様子見していても、ここぞという場面で一気にスパートをかけられるように、爆発的な効果を持つワイルドカードを導入しました。それが“怪しい栄養ドリンク”です。デザイナーではなく、黒服の男たちがプレイヤーに差し出す、危険ながら小さな贈り物なのです。 ゲームで1位ゴールした選手は、誰もが考えるであろう当然の行動を取ります。そう、八百長に失敗した腹いせに、他の全選手をドーピング疑惑で主催側に告発するのです! したがって、ドリンクを使うタイミングは慎重に見極めなければなりません。ほんの少しでも遅れれば、失格という結果になってしまうかもしれません。 カードの組み合わせが「ジャンプ」と「ラン」に分かれている点も、本作の特徴です。大富豪系ゲームでよく使われる「ラン」は、レースというテーマとも非常に相性が良いため、同じ数字を出すプレイを両足を揃えて跳ぶ「ジャンプ」として表現してみました。 選手たちは、他の選手の動きを見ながら追い越しを狙います。そのため、「ジャンプ」は「ジャンプ」で、「ラン」は「ラン」でしか上書きできないというのが、このゲームの重要なルールです。カードカウンティングによって相手の動きを読み、先手を打てば好成績が期待できるでしょう。開発初期のルールでは、手札のカードがゴールまでの距離を表し、すべてを出し切ればゴールに到達するというものでした。これを視覚的に分かりやすくするため、競技場ボードを作ってみたのですが、パスするたびにミープルが後退するのは不自然だったため、「手札が残っていてもゴールすれば順位が決まる」ようにルールを変更しました。 その結果、本作はクライミングゲームでありながら、手札をすべて出し切るゴーアウトゲームではありません。では、常にパスして手札を増やすのが得策かというと、そうとも限りません。なにせスローロリスたちはとても鈍足で、一度に3マスまでしか進めないのです。ある程度は先頭との距離を詰めないと、レースに取り残されてしまいます。最初から走ることを放棄するのは、スポーツマンとしても八百長師としても、不誠実な態度だと思うのです。 さらに、レースの1位がもらえるトロフィーは一見まったく役に立たないように見えますが、タイブレイク時に優位になるため、すでに2位を取ってお札チップを手に入れたプレイヤーにとっては魅力的な報酬となります。そのため、第2ラウンド以降は、前ラウンドで2位だったプレイヤーが勢いよく飛び出し、それを他のプレイヤーたちが必死で追いかけるという構図になるのも、本作の面白いポイントです。このように、「大体八百長レース」は、他の名作ゲームたちの遺産を受け継ぎつつ、アイデアの種であり核心でもある「八百長」のテイストをルールそのものに生き生きと反映させようとしたゲームです。 ゲームをデザインする過程では、違法薬物の力は一切借りていませんので、ご安心ください。プレイ中に関しては……そうですね、主催側にバレさえしなければ、きっと問題ないでしょう。
- 2025/5/7 22:51
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