薩摩和菓子with米菓子

ゲームマーケット2025春が初出展。薩摩和菓子と米菓子の合同サークルです。ゲームマーケット2025春に、海の食物連鎖と弱肉強食のトリテ『シーフード・チェイン』、米国各地を同時に仁義なく競り落とすオークション『ゴートファーザー』、満員電車で固有能力ハンドマネジメント『RUSH HOUR』を出します。

『シーフード・チェイン』開発秘話
2025/4/12 8:14
ブログ

『シーフード・チェイン』がどのように生まれたかを紹介します。

 

『シーフード・チェイン』とは?

『シーフード・チェイン』は、海の食物連鎖と弱肉強食を題材にした、マストノットフォロー・トリックテイキングゲームです。

スートなし・切り札なし・特殊カードなし・ビッドなし・減点なしで、特殊なルールは

  1. 場にない数字のカードを出す
  2. 出せるカードがなければ、手札を公開し、そのラウンドは即終了
  3. 場にある数字が連番を構成しているトリック(このとき、「1」は「8」の次の数字とする)で勝つと高得点

の3点だけです。

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「マストノットフォロー」の元ネタは『ポテトマン』

『シーフード・チェイン』を作るきっかけになったボードゲームは『ポテトマン』です。

『ポテトマン』は、「マストノットフォロー」を採用している、もっとも有名なトリックテイキングゲームです。

「マストノットフォロー」とは、「場にないスートのカードを出す」「出せるカードがなければ、手札を公開し、そのラウンドは即終了」という一連のルールのことです。

そして、『ポテトマン』は、商業出版社が日本語で出版したことのある、「マストノットフォロー」を採用したトリックテイキングゲームの中で、もっともシンプルなボードゲームでもあります(薩摩和菓子調べ)。

この『ポテトマン』、現在は韓国の出版社「HonuGames」が日本語説明書付きで再販していますが、個人輸入が必要なため、定価での入手が難しい状況です。

現在入手性が低くなっている『ポテトマン』の「マストノットフォロー」の面白さを残しつつ、もっとシンプルなトリックテイキングゲームを作れないだろうか?という発想から、『シーフード・チェイン』の開発が始まりました。

 

『ポテトマン』の複雑さ

『ポテトマン』はトリックの勝敗を決めるまではとても簡単なのですが、カードの内訳と、得点の仕方に少し癖があります。

  • 赤のランクが5~18、青のランクが4~16、緑のランクが3~14、黄のランクが1~13、それぞれ1枚ずつ。
  • 勝ったスートによって得点カードが異なり、ランクが低いスートだとより高い得点カードを獲得できる。
  • そのラウンドで同じスートで4回勝つと、そのスートの得点カードが枯渇し、それ以降はそのスートで勝つと、もっとも高い得点カードを獲得できる。
  • もっとも高い得点カードも枯渇すると、そのスートで勝っても得点カードを獲得できない。

これらはいずれもスートが関係しています。

『ポテトマン』を複雑にしているのがスートであるならば、スートをなくし、「場にない数字のカードを出す」に変えればよいのでは?

しかし、それだけではただ大きな数字を出すだけの無味乾燥なゲームになってしまいます。

 

「食物連鎖」の元ネタは『Flashpoint』

得点ルールを考える際に参考にしたのが、世界初のマストノットフォロー・トリックテイキングゲーム(薩摩和菓子調べ)である『Flashpoint』です。

英語ルール

日本語ルール

『Flashpoint』は「ブリッジ」のような2対2のチーム戦で、場にある札でポーカーの役を作ることを目指します。

そして、ポーカーの役でスートも同じ数字も使わないのは「ストレート」(数字が連番を構成している)だけです。

そこで、「場にある数字が連番を構成しているトリックで勝つと高得点」という、「食物連鎖」ルールを導入しました。

 

カード構成の元ネタは『ペアーズ』

カード構成で参考にしたのが『ペアーズ』です。

『ペアーズ』は、1が1枚、2が2枚、3が3枚……10が10枚の、計55枚のカードを使ったトランプのようなゲームです。

アークライト 野澤 邦仁のボードゲームを作るには Vol.02「ゲームの着想7つ道具」

「場にあるカードが3~5枚」でプレイヤーが狙えば連番を作れるように「数字は1~8にすること」、そして「肉食動物が肉食動物を食べる」という連鎖が発生することで食物連鎖の数を稼げるように「海の生きものを題材にすること」は決まりましたが、問題はカード構成でした。

萬印堂のトランプパックで印刷する場合、カード枚数の上限は54枚だったのですが、8の倍数で条件を満たすのが48枚で、すべての数字を同じ枚数にすると6枚も余剰が発生してしまうのです。

そこで、野澤邦仁氏の記事を思い出し、1が10枚、2が9枚、3が8枚……8が3枚と、ピラミッド型のカード構成を検討したところ、余剰カードが2枚まで減りました。

また、食物連鎖の後ろになるほど個体数が少なくなる「生態ピラミッド」も表現できるようになりました。

 

タイトルで意識したのは『フードチェーンマグネイト』

タイトルに『トリック』などの単語を含めればトリックテイキング好きに訴求できることはわかってはいましたが、「トリックテイキングを敬遠している人にも遊んでほしい」「商業のトリックテイキングでタイトルに『トリック』などの単語を含むものは少数派では?」との思いから、フレーバーである「海」と「食物連鎖」をそのままタイトルにしようと考えました。

「食物連鎖」は英語で「food chain」ですが、重ゲーの名作『フードチェーンマグネイト』との差別化のために、ハンバーガーショップはメインとして扱わない「海産物」の「seafood」とかけて、『シーフード・チェイン』というタイトルになりました。

 

微調整いろいろ

ルールを作成するにあたって以下の要素も検討しましたが、いずれもルールが煩雑になってしまうので、「マストノットフォローをお手軽に楽しむ」というコンセプトから現在の形になりました。

  • 弱肉強食(場にある数字が連番を構成しないトリック)で勝つと減点
  • 弱肉強食でも「1」は「8」に勝つ
  • 『ポテトマン』と同様に、2人用ルールでは個人山札を用いる

 

最後に

マストノットフォローをお手軽に楽しめるトリックテイキングゲーム『シーフード・チェイン』をゲームマーケット2025春の土曜日に頒布します!

価格はイベント限定で1500円!

取り置き予約も受付中!

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