しらたまゲームズ

親馬鹿が高じて、しらたまさんのゲームを作る事になりました。

しらたまさんだけかと思いきや、もう一本趣味丸出しのゲームもできちゃいました。

げすらぶ。

作る上で大事にしている事
2018/12/2 2:12
ブログ

こんにちは、しらたまゲームズのちゃぴと申します。



この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2018の2日目の記事として書かれました。



心の師の一人でもあるカレーさんのアドベントカレンダー、自分が書くなど恐れ多くも勿体無い、他の方の記事が1つ減るのは損失!!!とか思っていましたのでやらかした感があります。



…いまさらですが逃げたい。



お目汚しでございますが、よかったらご覧下さい。



 



私がゲームを作るにあたって大事にしている事は3点あります。



その1:まずコンセプトありき



その2:伝えるべきは物語



その3:遊ぶ為の心遣い



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★その1:まずコンセプトありき



作るにはまずコンセプトありきです。私はアートやデザイン、システムも含めて他はすべて枝葉と考えており、まずはコンセプト、すなわち「私は~したい」という所から始まると考えています。



コンセプトの意味を調べると「概念」などふわっとした説明がでてきますが、そのゲームを作りたい動機と言えば分かりやすいでしょうか?



例えば「女の子の横にゴシック体でメンヘラって書いて置くと背徳感やばい!」でも良いですし、「すっげーシステム思いついた!」でも「○○師のイラスト魅せたい。」でも何でも良いです。どんな事をしてみたい、なぜその作品を産み出そうかと思った原点、それがコンセプトです。ここを曖昧にしてしまうと作品はすぐに揺らいでしまいます。



注意点としてコンセプトは必ず言語化する必要があります。本来は動機が一言で伝わるように言語化したものがコンセプトなので順序は逆なのですが、動機を言葉で表現すると考えて頂ければ理解も楽だと思います、結果的には大差ありませんし…。



 



幹となるコンセプトさえできてしまえばゲームなんか自動的にできてしまいます!



コンセプトの何がどう面白いのかと一般化して、どう再現するかと構成して、どうすれば面白くなるかと盛っていって…。



ほら…、簡単でしょ?



コンセプトから導かれるままに進み、行き詰まれればスタート地点に戻れば良いだけです。(もちろん予後が悪くかったりモチベーションが追いつかずに闇に葬られる事も多いですが。)



「テーマ先行VSシステム先行」の話題も定期的に出てきていますが、どちらもコンセプトを実現する為の一要素です。



 



さてこの「テーマ」という言葉について、ボドゲ業界で使われる「テーマ」は他の業界では「モチーフ」や「コンセプト」と呼ばれるべきものが混同されて使われている場合も多く、その差異から不幸なすれ違いが発生している様子が幾度と無く見られました。「視座を多く持つほど多くの世界を見ることが叶う。」と紅玉の瞳の魔王様もおっしゃってましたので、ゲスラブを例にして説明してみます…



コンセプト:人にレッテル貼りして点数付けする背徳感を味わって欲しい



テーマ:理想の彼女を作る恋愛ゲーム



モチーフ:女の子の表と裏の顔、キャラクター属性







コンセプト:Why「何故やるか」(自分が)ゲームを作る動機



テーマ:What「何をやるか」どの様な主題でゲームを作るか



モチーフ:How「どのように表現するか」どの様な素材で主題を描くか



省略されていますが全て主語が異なります。



上位があって下位が成立、つまり幹と枝葉です。幹に力が無いと素晴らしい枝葉も活かしきれずに小さな木になってしまいます。制作における無数の取捨選択の基準となりますので、何が幹に近いかはしっかり区別した方が良いと思います。



 



よく企画作りの記事でテーマからコンセプトを導く!などありますが、発注やマーケティングに従って作るのであれば確かにその通りかもしれません。



しかし、同人ゲーム作りに関しては当てはめる事ができないと考えています。



なぜなら、同人活動は本質的に仕事ではないからです。



誰からも望まれず強制されず、自分の内発的動機から作品を産む行為、私はこれはアート(芸術)の文脈に属する活動で、商業と同人の決定的な違いもここにあると考えています。



プロダクトアウトの極みですね、根本的に商売には向きません。



 



さっきコンセプトさえ決まれば自動的にできるなどとざっくり言いましたが、折角なのでゲスラブを作った時の流れを書いてみます。



↓きっかけ:ゴシック体でメンヘラって印刷した紙を他人に置くとパンチ力凄い



↓コンセプト:人にレッテル貼りして点数付けする背徳感を味わって欲しい



↓ 初期システム試作



↓テーマ:(コンセプトを伝える為)理想の彼女を作る恋愛ゲーム



↓モチーフ:(テーマを表現する為)女の子の表と裏の顔、キャラクター属性



↓ 基本システム完成



↓フレーバー:属性効果、愛チップ、キャラ差し替え、彼女捨て、説明書のネタや演出(装飾)



↓ストーリー:グループ交際で彼女を育成(システムの正当化、世界観の補強)



↓デザイン:プレイ感向上(ルール整備、説明書、コンポーネントデザイン)ほぼまるなげ



↓アートワーク:未プレイユーザーの興味引き(キャラデザ、パッケージ、装飾)まるなげ



↓入稿:実体化(入稿データ作成、レイアウト調整)まるなげ



↓製造:製品化(チップ抜き、説明書折、箱詰め)ガッシ!ボカッ!アタシは死んだ。スイーツ(笑)



コンセプトが出来た時点でゲームの芽が産まれ、テーマとモチーフが噛み合った時に骨格が完成し、悩んだ時は上流に立ち戻り、枝葉を伐採しながら完成してゆきます。



実は説明書のネタや演出はストーリーより先に生まれていたりします。フレーバーはストーリーやルール整備よりも先にコンセプトやテーマから溢れてくるのです。



 



さて、この流れを少し弄ってみましょう。



モチーフを弄るとシリーズになります。(メスラブとオスラブとか?)



テーマを弄るとリメイクと呼びます。(ピザとホイップとか?)



しかしコンセプトは弄るともはや別ゲーとなります。(同タイトルのカードゲーム版とか)



フレーバー以下は弄っても精々改訂版でしょうか?



最も大事なのはコンセプト、ここがゲームの本質、最も気合入れて考えるべき所です。



 



というわけでその1、私の場合、作るにはまずコンセプトありき、という話でした。



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★その2:伝えるべきは物語



さて、実際の所どんなに素晴らしいコンセプトの作品でもゲームとして人気がでるどうかには無関係です。



まったくおっそろしい話です。



ユーザーが本当に求めているゲームって何でしょうか?



例の木の画像でも張って見ますか?







例えばアートワークが好みで手には取りますが、ゲーム自体には別段興味はなく、ババ抜き位のシステムでも全然平気という方もいます、隣の部屋に…。



逆にフレーバーに左右されたくなく、システムを純粋に楽しみたいという方もいます。



全然属性違うやんけ!と思いますか?私もそう思います。



でも共通点はあります。



前者はアートワーク体験、後者はシステム体験、つまり快の体験を求めています。



 



私は体験とは物語が発生した経験と定義しています。



経験を記憶に留める為に感情を乗せて意味づけした一連の流れ、この流れが物語です!



物語により体験として経験は定着し、言語に乗せて共有する事で他者の人生経験を安全に!効率的に!喰らい成長する!



人類を最強たらしめる武器の1つ!そう、物語!!



もはや本能レベルに刷り込まれた物語の摂取欲は中毒となり、より強い快を!より強い快を!



人類は好奇心と欲望のままにリンゴを掴んで閉ざされた楽園から荒野に飛び出したのです!



ゴーッド!!!!



 







 



失礼…、速が上がり過ぎました。



…この物語、様々な作法とお約束事で圧縮されたパッケージとなっており、解凍するには一定の学習が必要になります。この学習の積み重ねを素養と言います。



素養が必要、すなわちハードルがあるという事です。よく訓練された人は設定を見るだけで物語を自動生成するように、素養を積んだ人はほっといても自分が解凍しやすい所から沼に切り込んできます。猿がランダムにタイプライターを叩いても小説にはなりませんが、文字の集合から勝手に物語を見出して涙する者もいずれ生まれる事でしょう。



そんな連中はほっといてOKです。



ハードルは低く低く、素養の無い人が解凍できる範囲で快の予感を生じさせなければなりません、手に取って貰えないと単なる風景なのです。手軽に摂取できなければより強い刺激を求めるジャンキーだけが光の彼方に消え、アレは駆逐されます。



…中毒性があって、耐性もある、もちろん禁断症状もあって酷いアレですね。



 



では、その為の物語はどのような物か。



それはゲームのすべてです。



システムとテーマの調和という言葉もありますが、あらゆる入り口から入ってきたプレイヤーがプレイの中の小さな勝ち負け、フレーバーやアートを通じ物語を感じ、個人ごとに視界が異なる世界を物語が接続し、同じ共有体験へと昇華する!



その為にあらゆる要素が調和し、幹から枝葉の隅々まで一環して巡る道!生命の導管!それこそが!それこそが!求められる物語なのです!ゴーーーーーーーーッド!!!!



 







 



…まあ、逆説的に、どの部分からも共通の物語を感じさせるデザインができれば、つまり全属性対応の体験になるわけです。



そんな作品作りを目指したいなあと常々考えています。



 



さてここまではインナーワールドの物語、次はアウターゾーンの物語です。



キーワードはSNS栄えです。



またまた酷い話ですね、ゲームとはまったく関係無い。



 



誰かが楽しそうに遊んでいる風景は、自分も遊んだ時に楽しさを得られるのではないかとの予感が生まれます。「楽しそう」と「楽しい」はまったく別の事象です。なのに物語の作用で他者の体験を取り入れてしまい、自分が楽しんでいる姿を想像してしまうのです。



ゲムマの試遊卓もそうです、プレイヤーがゲームを楽しむ事は大事です、ですが、より重要なのは試遊しているプレイヤー達の楽しんでいる表情が、ギャラリーから見える事の方が大事なのです。ギャラリーはゲームを見ているのではありません、ゲームを買った後の自分の姿を見ているのです。(プレイヤー4人の体験<プレイヤー4人+ギャラリーn人の体験)



 



楽しそうな雰囲気は本当に大事なのです。



そのために作者がコントロールできる部分は、まずアートワークです。



 



大風呂敷広げて、いきなり枝葉の先です。



…こら、石投げないで!



 



アートワークはパッケージとほぼ同一で、ゲームとはまったく関係なくとも成立します。



しかし良いアートワークは1秒で相手の興味を捉える力があります。目指せワンターンキル!







ゲーム体験の最初の一撃はまずパッケージが担っており、ユーザーはアートワークで得た期待感を燃料に次の要素を受け取る体勢に入ります。



次はストーリー、その次はフレーバーです。



そろそろお気づきでしょうか、ユーザーはゲームを作る際の流れを逆に遡っていくのです。



そう、木を見るときは最初に目を入るのは葉っぱなのですよ!



初プレイはストーリーを読んで、フレーバーで軽く笑った後でしょうし、数回目のプレイではシステムを乗りこなしながらテーマに浸り、システムそっちのけでハウスルールを作って遊ぶ段階ではまさにコンセプトそのものを体験してくれているのです。



ゲームの作る際は上流から下流に、これは絶対です。



しかしユーザーは下流から上流に遡る存在です。



物語の枝葉の先側から簡単に解凍できるように意識すべきなのです。



 



キーワードはSNS栄えとしたのは感染力についても語る必要があるからです。



人は様々な理由から自分の良い体験を共有しようとします、良い体験は次の体験を呼ぶのです。しかしバズるもバズらないも全ては運、これは作者がコントロールできない部分の話です。



しかし、コントロールできないからこそ「飛ぶ」要素が重要なのです。運以外のあらゆることを塗り潰すのは定石だと某商会のロックさんも言っています。どこを切っても面白い、プレイ風景のインパクト、コンポーネント美、思いつく手段は(予算の範囲で)行いましょう。その瞬間の幸運を活かす為にこそ「飛ぶ」要素が重要なのです、射程距離を伸ばす試みは人類の進化そのものです。



売るための手法と揶揄される事もありますが、ゲームは作っているだけでも楽しいのに、多くの人に楽しんで遊んで貰えるのは素晴らしい事じゃないですか?それで続ける事ができて、生活が楽になる事でもっと色々な作品作れるようになるとか最高じゃありませんか?!



私は、コンセプトに忠実に誠実に丁寧に、今の自分が出来る事を全てを(予算の範囲で)使って、自分だけでも欲しいと思える作品を作ろうと(予算の範囲で)心がけています。



 



求めているものは体験、買うは楽しみの予感、伝えるべきは物語。



というわけでその2、伝えるべきは体験、という話でした。



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★その3:遊ぶ為の心遣い



…疲れてない?お茶飲む?



前段でハードルについて話しましたが。ハードルは体験に繋がるものであれば良いのですが、関係の無いものも多くあります。例えば説明書を読むためにゲームを買う訳ではありません。読解難易度が高いもの、処理が不明瞭なもの、ゲームとは関係無いハードルです。コンセプトの実現に繋がらないハードルは出来る限り低くすべきです。



説明書でのハードルを下げる手法例



・何をどんな順番で伝えるべきか事前に整理し、伝えなければいけない事を絞る。



・その行を読んでいるプレイヤーは、どこまで理解して何を求めながら読んでいるかを想像して書く。



・要素同士の関係を構造化して抜け漏れを防ぎ、今の段が後どの位続くのかが把握できるようにする。



・各パートのゴールを先に明示し、読んでいるプレイヤーは何を考えながら読めば良いかを理解できる様にする。



・図示、リマインド、フレーバーなどで頭に定着しやすくする。



※今回の記事はまったく垂れ流しで全然実践できていませんね!



 



他にも無駄ハードルとしてありがちなのは



・駒が小さすぎて取扱いに困る、紛失しやすい。



・複数の解釈ができるテキスト、そもそも読めない文字サイズ。



・視覚特性に配慮されていない。



・そもそも売ってない、プレミア価格になっている。



・ググっても情報すら出てこない。



ここらは多くのデザイナー様が熱く語っていますので色々みてください、と…。



 



ふわっとした話だけではアレなので実践例を紹介します。



今回のしらたまゲームズの新作「さーくら」のカラーキューブ、これは「ボードゲーム製作キット」として販売されているアレです。



これの内4色をプレイヤー別のトークンとして使用するのですが、色覚特性によっては判別が厳しい色だったりします。



よって今回は使用する色を以下の4色にしました。







私の色覚では緑と近い色味の黄色をやめて、紫と変えたい所ですが、この4色ですと少なくとも1つの色はしっかり把握できます。似た色の組が2:2になると人数によっては判別困難になる組み合わせが増加します。



既製品は自由度が低く、新造はコストが天元突破する為、対象者は割合的には少ないだろうという次善の策です。



他にはゲスラブやクエクエのチップですが、こちらは単純にグレーにしても自分のチップが判別できるシンボルを色事に付けています。



そんな感じでベストが無理ならセカンドベストを目指す。やった/やらなかった結果をアンテナを張って観測しています。



キューブの例では対象者が2名以上いた場合は成立しませんので、フィードバックがあった場合は見直さざるを得ない可能性もあると考えています。



 



後は旧作をある程度長く入手できる様にしておくのも大事ですね(予算の範囲で)。



面白いゲームに数年程度の新旧はあまり関係ありませんし。今知った人にとっては最新の体験の予感なのです。



気軽に入手できないと、本来得られたであろう評価も失われて歴史に埋もれてしまいます。



在庫と流通は可能な範囲で維持しようと考えています。



プレミア価格とか最低のハードルですしね!



注意点があるとしたら、失敗したら即死になる状況にだけはしないでください。予算だけでなく、作る時間や労力も含めてです。プロ野球では3割打てれば強打者とか言われますが、場の守備率9割9部です。無理せず楽しく長く続ける事が一番だと思っています。



 



というわけでその3、遊ぶ為の心遣い、という話でした。



 



以上3点が私がゲームを作るにあたって大事にしている事です。



…くっそ長いですね、くどい、本当にくどい、ユーザビリティ皆無ですね。



 



自分が実践できているできていないは別です!、心に棚を作れの精神でブーメラン刺さりながら理想論を書きました。



でも かいたなら だしたい。これも いきもののサガ か・・・・



 



何かの間違いで誰かの何らかの参考になれば嬉しいなとか思います。



何かご意見、ご感想などありましたらTwitterでDMなどいただければと思います。



 



しらたまゲームズ ちゃぴ