コムナタ712

「何度も遊べる、アツい頭脳戦ゲームを」

をコンセプトに活動しております。

制作:「トライノミコン」「HOSTILE」

【デザイナー・ゲーマー向け】縛られた行動のジレンマ--パワーカードを中心に回るメタ
2018/2/14 18:14
ブログ

みなさんこんばんは。

ゲムマ2017冬にて『トライノミコン』というゲームを出しました、コムナタ712です。



↓キービジュアル↓





TCGの系譜にあるゲーマーズゲームで、滅茶苦茶要約すると相手の行動をバッチバチに読み合って殴り合うゲームです。



本日の記事では、面白おかしいパーティーゲームより、がっつり考えて戦うタイプのゲームが好きなゲーマーの皆様に向けて、『トライノミコン』が、



いかなる手段でスリリングな読み合いゲーを実現しているのか



をご紹介したいと思います。

また、ゲームのしくみを考えるのが好きなデザイナーのみなさまにも、何かの参考になるかと思います。

ちなみに、先に答えを言っておくと、

「環境を規定する強力な選択肢と、それに対する回答となる選択肢を両方ゲーム内に用意する」

という事になります。



委託販売もございます。この記事を読んで「ちょっと面白そうじゃん」と思って頂けたら、ぜひお手に取ってみてください)



まずは、未プレイの方に向けて、『トライノミコン』がどんなゲームかを軽くご説明します。



『トライノミコン』は、魔法使いになり、こんなカードを使って相手のライフを削っていくゲームです。







基本となるゲームシステムは、

1.「いっせーのでカードを出し合って書いてある効果を使う」

2.「それを1ターンに3回やる」

3.「状況を完全リセットし、ランダムドローで1枚、公開ドラフトで2枚、共通のデッキからカードを補充」

これを繰り返すのみです。

ライフは25点から始まり、どちらかのライフが0になったら、ゲームは終了です。



使えるカードの効果は、概ね以下3つです。

・攻撃(赤色のカードが得意な効果)

・攻撃を完全に防いでカウンター(緑色のカードが得意な効果)

・カウンター貫通/カウンターを完全に無視してドロー(青色のカードが得意な効果)

効果自体は、カードの色に対応した3すくみになっているわけですね。



さらに、全行動に共通して、

・マナを出す

という準備を、対応した色のカードを1枚使って行わなければなりません。





たとえば、このカードは、ターンの1枚目、2枚目に出すと「赤マナを3つ獲得」することができます。

3枚目に出した際には、「持っている赤マナの2倍のダメージを与える攻撃」を繰り出せます。

もし、この『業火』を3連続で3枚出すと、赤マナを6個獲得した後その2倍の打点で攻撃。つまり12点ダメージ。

初期ライフの半分ほどを一発で削り取れるというわけです。

(このカードは1枚しかデッキに入っていませんので、実際には不可能です)



一方で、それをカウンターできるカードは、こんな感じです。



相手が3枚目に『業火』などで攻撃した場合に、緑マナを3つ持った状態でこのカードを使うと……?

……たとえ相手が溜めたマナが200個だろうが300個だろうが、攻撃を完全に無効化できてしまいます。

しかも、自分の持っている緑マナの個数だけダメージを返すオマケ付きです。



さて、さきほどのシステムですが、言い換えるとこうなります。

「カードを出し合うのは同時」

「カードを3回に分けて1枚ずつ出す」

「毎ターン状況が完全にリセットされる」

「補充するカードは1枚が非公開、2枚が公開情報」



ここまで言えば、ピンと来る方もいるかもしれません。

このゲームでは、ジャンケンの手を出すために、相応の準備が必要なのです



3回に分けて使えるカードのうち、最初の1、2枚は、たいていマナを出すことに使用します。

しかも、出したマナの色で、概ねやりたいことはバレてしまう

やりたいことがバレると、後出しでも対策をされてしまう

その上、手札の66%は常に相手に知れています

だというのに、折角準備したマナは毎ターンリセットされるので、対策されるのを承知の上で行動しなければ、勝利は出来ない



……そこまで分かっていて、どうやって相手の読みを外し、自分の攻撃を通すか。あるいは、相手の行動を完璧に読み切り、攻撃を防ぐのかを考えるのが、このゲームの面白いところになってきます。



先程のような要素のあるこのゲームにおいて、「攻撃が通った」あるいは、「相手の攻撃をシャットアウトした」というのは、要するに、

「的確に状況を把握し、巧みな戦略を考え、読み合いで相手の上を行った」

ということ。

そして、この『トライノミコン』においては、そんな読み合いを制し続けた者が勝利するのです。



1プレイ30分もかからないこのゲームでは、その「相手の上を行った瞬間」は、そう何度も訪れません。

その分、一回一回に重い一撃を食らわせる事ができる、強烈なカードが何枚か存在します。







特に強烈なのがこの1枚です。

赤マナの3倍ダメージの攻撃を行うという純粋な高火力。

1ターンに用意できるマナの数はたかが知れていますが、「次のターンにマナを持ち越す」といったカードを使えば、両カードの打点は跳ね上がります。







こんなカードを使って赤マナを9個溜めれば、ライフMAXの相手も瞬殺です。



つまり、パワーカードなのです。



しかし、「え、じゃあ瞬雷引いて撃てば勝ち?」とはなりません。

このカードは確かに強力ですが、デッキに2枚しか入っていません。

一方で、この攻撃を完全に無効化出来るカードは、実に10枚以上も入っています







具体的にはこの辺り。

しかし、どのカードにしても

「緑マナ1個」

を事前に用意していなければ発動できません。

逆に、「緑マナが1個出ている相手」に対しては、『瞬雷』は、持っていても非常に打ちづらいのです。



思い出して下さい。このゲームでは手札はほぼ割れています。

ゲーム開始時の6枚と、毎ターン非公開で引く1枚の他は、ほぼ全て公開してドラフト。

つまり、相手に見られずパワーカードを引っ張ってこれる可能性は、そう高くはないのです



ですから、『瞬雷』を使う場合、殆どはドラフトでプレイヤーの手に渡ります。

となると、取られた側は、ドラフトで緑のカードを多めに取るだけで、相手の行動は相当制限できてしまいます。

……とはいえ、相手がパワーカードを握っていれば、後手に回るのは確かです。

ならば、ライン(ドラフトするカードが公開されるエリア)に出た『瞬雷』は、なんとしても確保したいというもの。

ドラフトの先手は、「攻撃を通す」「カウンターを決める」などで奪うことができるので、それを積極的に狙っていくことになるでしょう。

あるいは、青のドロー系カードを使い、ドラフトステップを待たずに取ってきてしまうというアプローチも考えられます。

既に、パワーカードを巡って、「取り合い」という1つの駆け引きがあるわけですね。



さて、こうして生まれる『瞬雷』を握る側と、握られた側。次なる駆け引き、「当てるか躱すか」の始まりです。

当たり前ですが、『瞬雷』側は、『瞬雷』を当てたい。

もっと言えば、たくさんマナを出して、大幅なライフのリードを作りたいのです。

しかし、だからといって大量の赤マナを用意すれば、カウンターの餌食になり、全てのマナが水疱に帰します。

一方、守る側は、『瞬雷』をカウンターして、無駄遣いさせたい。

出来るだけ緑マナを確保し続けて、相手がいつ瞬雷を撃ってきても跳ね返せるようにしたい。

とはいえ、毎ターンカウンターを張っていたら、いずれカウンターカードは枯渇してしまいます。

強烈ながら対策が出来るということで、お互いがジレンマを抱えるわけです。

このような駆け引きでは、相手がどのカードをドラフトしたのか、重要カードは何枚デッキに残っているかなどの状況判断力が問われます。



と、以上のように、このゲームではパワーカードを中心に様々な策謀が張り巡らされるのです。

……赤、青、緑と三色のカードがありますが、どれか1色を使ってのみ勝利することは不可能。

そして、強力なカードをただ出しても勝つことはできません。

『トライノミコン』は、お互いが全てのカードを使えるという状況を鑑みて、行動がバレている中での有効打を模索する心理戦のゲームなのです。

そして、その心理戦を苛烈なものにするために、様々なパワーカードと、それに対する対策手段が用意されています。



重要なのは、パワーカードが1枚持っているだけで強いのに対して、その対策は、1枚のカードに頼るのみならず、複数枚のカードを用いたコンボや、ドラフトなども含めた立ち回りの部分でも可能だという事です。

『トライノミコン』では、デッキからランダムにカードが現れるという関係上、ゲーム展開や使えるカードが毎回異なってきます。

今ある組み合わせで、いかにしてパワーカードに対抗するのか。

あるいは、パワーカードの圧力を利用し、どのように勝利を手繰り寄せるのか。

そういった部分を、反復プレイをしながら考えるのが面白いゲームになっております。

ぜひ、プレイヤーの皆様で、華麗なプレイングを研究し、楽しんで頂ければ幸いです。



それでは、今回の記事はこのあたりで。

次回からは、ゲムマ春新作、対戦パズル『ホスタイル』の宣伝記事になります。

こちらも、『トライノミコン』並に策謀の渦巻くゲームに仕上がっておりますので、ぜひお楽しみに。