あらたま農園企画開発部 @aratama_create
おいしいぶどうと楽しいゲームを作る会社です。 本業はぶどう農家ですが、代表社員二人でアナログゲームを制作しています。 公式サイト: https://create.budou.farm
- 2-6人対戦競馬ゲーム「Winning Combination」の紹介【2026秋新作】
- 2026/10/13 16:10
こんにちは。【日曜日-J015】あらたま農園企画開発部です。
前々回、前回の記事に引き続き、今回も2026秋に頒布する新作ボードゲームについて紹介する記事となっております。
本日紹介するのは『Winning Combination』。プレイヤー自身がジョッキーとなり、ダイスの出目をうまく乗りこなしながら誰よりも速くゴールを駆け抜けることを目指す競馬がテーマのレースゲームです。
ダイスの出目分だけマスを進んで周回しゴールを目指す、すごろくのようなシステムのゲームですが、運の良さよりもむしろレース展開や現在の状況を考えてプランを立てる力が勝敗を分けるゲーム性になっています。
以下で詳しく解説していきます。
ルールについて
事前準備
4枚のトラックを横に並べてコースを作り、START&GOALマスに参加人数分の馬コマを並べます。
最小2人-最大6人のプレイヤーでレースを行うことが可能です。
並べ終わったら、巾着袋に入れたダイスから各プレイヤー5個ずつダイスを見ずに引きます。
このランダムな5個が各プレイヤーの初期手持ちダイスとなります。
ターンの流れ
まず最初に、巾着袋から規定数のダイスをランダムに引いてボードに置きます。規定数は、4頭立て(プレイヤー4人)以上のレースなら2つ、それより少ない場合は1つです。
全プレイヤーで同時に「このターンに進みたいマス数」を宣言します。
宣言は1-8の間で可能ですが、手持ちのダイスが3個しか残っていないプレイヤーは1または2しか宣言できません。
この宣言値が最も小さいプレイヤーが、場に置かれた全てのダイスを獲得します。
同率最小が複数人いる場合、その中でレース順位が最も下のプレイヤーが獲得します。
それも同じプレイヤーが複数人いる場合はキャリーオーバー(次のターンにダイス持ち越し)です。
キャリーオーバーした場合、次のターンのはじめにも場にダイスが追加されるので、ダイスを獲得しに行くメリットが大きいターンが生まれます。
次に、同じく宣言値が小さいプレイヤーから順に手番を行います。
この手番の順も同様に、同率がいたらレース順位が低い順です。
それも同じ場合は、こちらはキャリーオーバーがないため、手持ちダイスを一つ振ってより大きい目を出したプレイヤーから順にターンプレイヤーとなります。
プレイヤーは自分の手番で、自分の手持ちダイスから3/5/7個を選んで振ることができます。
手持ちダイスを全て振る必要はなく、好きな色の組み合わせのダイスを選んで振って構いません。
振ったダイスの組み合わせ次第で「役」を成立させることができます。
役は4種類存在し、それぞれ出目の値を大きくして扱えたり、手持ちのダイスを交換できたりとレースを有利に進めることができる効果を持っています。
このターンにどういった役を成立させるか、次のターン以降にどんな役を狙っていくかといった部分がこのゲームの戦略の中心となります。
ダイスを振ったらそれらを目の大きい順に並べ直し、それらの中央値をこのターンの出目として採用します。
(ダイスを3つ投げたなら上から2番目、5つ投げたなら上から3番目が中央値)
ただし先述の通り、役の効果で出目が修正されることもあります。
出目となるのはあくまで中央値なので、ダイスを多く投げることで直接出目は改善されませんが、多くダイスを投げるほどより強力な役を作りやすいため、「何個ダイスを投げるか」「そのために何個手持ちに確保しておくか」といった判断は非常に重要な要素です。
こうして振った際、6の目が出たダイスがあった場合、そのダイスは没収されて巾着袋に戻されます。
宣言値はジョッキーが想定しているペースに、ダイスの出目は馬が走りたがっているペースに対応しています。
6の目が出た時には馬が「かかって」しまっているような状態で、その分脚を使ってしまったというようなイメージです。
※ただし、手持ちダイスが3個しかないプレイヤーは6の目が出ても没収されません。全ての馬が無事にレースを終えてほしいという気持ちがあり、レースの続行のためには最低限3個のダイスが必要だからです。(そのために手持ち3つの時には宣言できる数値のほうを縛っています。)
出目が決まったら、自分の馬をトラック上で進ませます。
このとき進めるマス数は、最初に宣言した値と採用された出目のうち小さいほうです。
宣言値が小さいほどダイスを獲得しやすい一方、せっかくいい出目が出てもその値が上限になってしまうというジレンマがあるということです。
ただし、宣言値と出目がぴったり同じであった場合、ボーナスとしてその値+2マス分進むことができます。
これはジョッキーと馬との息がぴったり合っていることによるボーナスと考えてください。
このように各プレイヤー手番を進め、全員分終わったら再び獲得ダイスの抽選と宣言に戻って繰り返します。
レースは24マスのトラックを2周分、合計48マスに渡って行われます。(1マス50mのつもりで設定しました。ダービーですね。)
最も速く2周してSTART&GOALのマスを再度通過したプレイヤーがレースの勝者となります。

役
役は4種類。振られたダイスの色の組み合わせによって決まります。
ちなみにダイスの総数は4色×12個の48個となっています。
- ダブル(同色2つ): コマを進めた後、自分の手持ちから好きなダイスを1つ袋に戻し、かわりに袋から1つダイスを見ずに引く。
- トリプル(同色3つ): 一度だけ全てのダイスを振り直すことができる。(投げるダイスの数や組み合わせは変えられない。)
- クアドラプル(同色4つ): 出目を+2して扱う。
- レインボー(各色1つずつ): 中央値ではなく、その一つ上の順位の目を出目として扱う。
ダブルは自分の手持ちダイスの組み合わせを変えてより強い役を作りに行くための役、トリプルは6が出てダイスを失ってしまうことを予防する安全策としての役、クアドラプルとレインボーは出目を大きくしてより多くのマス数分進むための役として設計されています。
レインボーよりもクアドラプルのほうが改善される期待値は上ですが、レインボーは他の役と複合させやすいというメリットがあります。
多くのダイスを投げるほどより多く、強い役を作りやすくはなりますが、その分6の目が出てダイスを失ってしまうリスクも高まります。
強い役を今作って大きく飛び出しておくのか、終盤の叩き合いで優位に立つためにダイスを温存しながらレースを進めるのかといった状況判断が勝利のためには必要になります。
プレイの勘所
進めるマス数が宣言値と出目の小さいほうなので、手持ちダイスの状況と今後の見通しを踏まえて妥当な数を宣言する必要があります。
複数個投げて中央値を取るので、出目の期待値は大体3.5。確率が偏っていい目が出たとしても、宣言値が小さければそちらが上限になってしまいます。つまり、多くのマス数進むことを意図するのであれば、1や2といった数値を宣言するのはあまり有効な選択ではありません。
一方で、ターン初めに抽選されるダイスの獲得のためには他のプレイヤーよりも小さな値を宣言する必要があります。
そのため「このターンにダイスを拾いたい」という局面においては1や2を宣言することになるでしょう。
手持ちが3個まで減ってしまったプレイヤーに関しては、ルールによってこの選択を強制されることになります。
5個や7個のダイスを同時に投げていると、直感よりもかなり高い確率で6の目が出てしまいがちです。(5個投げれば6割弱、7個投げれば7割強の確率で1つ以上出ることになります。)
そのためダイスを失いたくない局面では、6が出ても一度だけ取り消すチャンスを得られるトリプルの重要性が高まることになります。
一方で終盤など、大きく飛び出したい場面では、クアドラプルやレインボーの効果で出目をドーピングしてやる必要があります。
クアドラプルは最も成立難易度の高い役ですが、勝敗に直接与える影響も最高です。クアドラプルが成立している状態で中央値6を出せれば、出目は+2で8に。宣言も8にしていた場合、なんと一度に10マス進めます。出目は最大6までというダイスの限界を超えられるのはクアドラプルにのみ許された特権です。
一方でレインボーは難易度が比較的に低く、他の役との複合も狙いやすいのが強みです。
5個投げで作れば自ずとダブルと複合しますし、7個投げならトリプル・ダブルとの3種複合も狙えます。また、レインボーとクアドラプルの複合は、終盤に一気に末脚で逆転を狙う戦略において目指すべき最終形となるでしょう。
そしてこうした強力な役を計画的に作っていくためには、ダブルによる手持ちダイスの交換が必須になるのです。
このような構造を踏まえると、このゲームにおける合理的な戦略は、
①コンスタントに大きめの値を宣言しつつ、隙を見てダイスの獲得も狙い、いい位置でレースを展開していく
②序盤、中盤はダイスの獲得を目指して小さめの値を宣言してじっくり進み、終盤に強力な役の推進力で一気に大まくりを仕掛ける
といった対照的な2つの間のグラデーションのどこかに収まるのではないかと思います。
初期ダイスで作れる役の構成、あるいは他のジョッキーが取ろうとしている戦略の偏りなどを見て自分の位置取りを決めることになるでしょう。
余談
このゲームの生い立ち
実はこのゲームは最初から「競馬ゲームとして作ろう」と考えていたものではありませんでした。
そもそもは「一気にたくさんダイスを転がすと楽しいのでは?」というのが最初の思い付きで、Icarian Digits(前々回紹介したゲーム)のテストプレイを一人二役でやっていた時、次の手を考えている間ダイスをもてあそんでいるうちに、「この感覚もゲームにできるのではないか?」と考えたところがルール作りの出発点でした。
そのため、「一気にたくさんダイスを振れるゲームにしよう」というのが最初に考えたことです。
たくさんダイスを振って嬉しいゲームにしたいとはいえ、「出目の合計値」で競うことにするとあまりに持っているダイスの数の影響が大きくなるので、「出目の平均値」の合計で競うゲームにしようと考えました。
これなら投げるダイスが増えても直接出目は大きくなりませんが、たくさん投げるほど期待値3.5に収束しやすいので、「リードしているプレイヤーは安全策のためにたくさんダイスを用意したくなる」というつくりになると考えたのです。(後に、足し算と割り算をする手間を考えて中央値に変更)
それをベースにしつつ、ジレンマを用意したかったので、「6の目が出たら手持ちダイスを失う」というルールもこの時生まれました。たくさん6の目を出したプレイヤーはリードしやすいはずですが、そうしたプレイヤーほど終盤にダイスを残したいのに残せない、というのがいい感じにスタビライザーとして機能してくれることを期待しました。
「役」の要素もこの頃組み込んだものです。これは、運要素を排除したプレイヤーの干渉余地として設計したもので、そういう狙いがあったために、ダイスを投げた時点で役が決定する(出目が役の成立に関係しない)形になりました。
この段階で何度かテストプレイを行ううちに、大きく2つの欠点が見えてきました。
ちなみにこの時点では、10個程度の初期ダイスを持った状態から始め、プレイヤーが順にダイスを振って行って出目をスコアとして加算し、10回程度それを繰り返したスコアの合計値を競うような作りでした。
このルールが抱えていた2つの問題とは、
①ダイスがだんだん減っていくのでゲームが進むほど不自由になり爽快感がない
②出目の偏りをダイス3-7個×10回という試行回数がある程度吸収するため、役構成以外の要素でほとんど差がつかない
といったものでした。
しかしこれらは、「リードしているプレイヤーはダイスを確保したいが、リードする道中でダイスを失ってしまう」という狙っていたジレンマが如実に発揮された結果(①)と元々懸念していた「出目の運が試合を左右しすぎる」という問題がある程度解決された結果(②)出てきてしまった難点です。
つまり、ゲームの各要素はある程度思った通りに働いてくれているのに、結果としてあまり面白くないものになってしまっていたということです。これには困りました。なのでここからは、これら2つの問題を解決できるようにルールを調整していくことになりました。
まず①の問題を解決するために考えたのが、「ゲームの途中でダイスを獲得できるようにする」という策です。初期ダイスの数を5個に減らし、毎ラウンドごとに何らかの方法でプレイヤーを一人選び、そのプレイヤーにランダムなダイスを与える、という仕組みはこの時に導入されました。
当初は「ラウンドの終わりに、そのラウンドで一番スコアが低かったプレイヤーがダイスを獲得する」というルールでした。「最後の最後まで勝負が分からないようにしよう」という思想が僕の中で強く、ここでも勝手にバランスがとられるような仕組みを入れようとしていたのです。
そしてもちろん、このルールはあまりうまく行きませんでした。スコア的に負けているプレイヤーがたくさんダイスを持っていて終盤に逆転する、という展開自体はある程度生まれていましたが、結局②の難点をさらに強調するような結果になってしまっていました。
出目による運要素からはかなりの距離を取ることができていましたが、得られたダイスの偏り、それによって作ることのできる役の構成、といった運の要素が結局勝敗をかなり左右するゲームになってしまっていました。
そこで考えたのが、「プレイヤーが自分の意思でダイスを獲得しに行けるようにしなくてはならない」ということでした。このような構造を導入すれば、「このターンはたくさんのスコアを稼ぐことを狙う」「今は一旦ダイスを取りに行く」という分岐が戦略的に選べるようになると考えたからです。
獲得スコアと獲得ダイス数のトレードオフを維持しつつ、プレイヤーが自発的にダイスを取りに行けるようにする。そのための仕組みとして導入したのが、現在のルールにも採用している逆オークション制度でした。
入札に使う数字を「このターンのスコアの上限値」とし、もっとも小さい数字を入札したプレイヤーがダイスを獲得する。こうした仕組みを導入すれば、それぞれのプレイヤーの戦術選択の巧拙が勝敗に影響するゲームにできると考えました。そしてこれはプレイヤースキルが与える影響を大きくすることになり、②の難点の解決にもつながります。
狙っていたことが達成できたので、ゲームシステムとしてはこれでほぼ完成したと言えそうです。実際この状態で何度かテストプレイを行ったところ、自分で戦術を選択できるようになったというメリット以上に、逆オークションの導入によってプレイヤー間の駆け引き要素が加わったことがなかなかうまく働いていて、いいゲームになってきたという手応えを得ることができました。
そしてこの頃合わせて、「このルールは競馬ゲームとして解釈できるのでは?」ということを思いつきました。
手持ちダイスの残り数を馬のスタミナとして解釈すれば、逆オークション部分による戦術の選択はそのままジョッキーのレース展開を考えたペース配分になぞらえることができます。他の馬よりも控えて走れば後半のためのスタミナを温存できる、というわけです。
「6が出るとダイスを没収される」という要素も、「馬が早いペースで走ることでスタミナを失う」という形で説明がつきます。まだ控えていたいのに「かかって」しまってスタミナを無駄に消費する、というのも、現実の競馬と対応しています。
何より、「プレイヤーが制御できる宣言値」「制御しきれない出目」という二つの要素がかみ合う必要がある、というポイントも競馬とキレイに対応していると感じました。あの手この手(役)を使ってジョッキー(プレイヤー)は思い通りに馬(出目)に走ってもらおうとするわけですが、時にはそれがうまくいかなかったり、馬側の出来があまりにもよかった相手に負けてしまったりする訳です。こうした要素も、人以外の生き物が勝負の命運を握る競馬というテーマにぴったりだと感じました。
そういうわけで、競馬に対応させるべくスコアの合計値ではなく規定スコアまで到達する速さで競うよう調整し、競走中止が発生しないよう、手持ちダイスが3つになってしまった場合のルールを整えて、この「Winning Combination」は完成しました。
できあがるまでには紆余曲折ありましたが、結果的に競馬というモチーフへの対応度も高く、ゲームとしても面白くて深みのあるものになったのではないかと思っています。
上記のようないきさつの末に生まれた「Winning Combination」も、前々回で紹介した「Icarian Digits」、前回の「Five for the Money」と同様、自分たちなりに自信作だと思っています。ご興味のある方に手に取って頂ければ幸いです。
我々あらたま農園企画開発部は日曜日の単日参加。
【日曜日-J015】にてお待ちしておりますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください!
【2026秋新作紹介】 Winning Combination(2-6人用/40-80分/2000円) プレイヤーがジョッキーになり、レースプランを考えつつ馬と連携しながら1着でゴールすることを目指す競馬ゲームです。 馬の折り合いや手応えといった要素をダイスの出目で、脚の残り具合をダイスの残数で表現しています! https://t.co/lEkRimF9vx
— あらたま農園企画開発部 (@aratama_create) September 3, 2026
