WILD CARDS

札幌のボドゲ制作サークル「WILD CARDS」です。「法律で遊ぼう!」を主なテーマに、現職の弁護士がゲームを制作しています。 処女作である「愛人に私の財産の半分を遺贈する」は、ゲームマーケット2022秋において開始1時間で150個を完売しました! 今回はその「愛人」をボリュームアップし、【改訂版】として頒布する予定です!もっとドロドロに、もっとバチバチに!!

【弁護士×遺産相続】ゲームの流れと実際の相続手続の流れをいっしょに紹介します1(相続前夜編)
2025/10/20 22:54
ブログ

お世話になっております。

WILD CARDS のわんです。普段は札幌で弁護士やってます。

ドロドロ系遺産相続バトルゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」を頒布いたします(リンクはゲーム紹介ページ)。

ご興味がありましたら、是非こちらからご予約をお願いいたします。

 

今回は、ちょっと不定期連載的に、弊ゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」のゲームの流れを、実際の相続手続と対比させながら、説明していきたいと思います。

 

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弊ゲームは、

①故人が遺した財産を調査しつつ、他の相続人候補と戦う準備をする【財産開示フェイズ】◀

②相続人の地位をドロドロになって奪い合う【紛争フェイズ】

③相続人が確定してようやく遺産分割手続が始まる【精算フェイズ】

の3フェイズで構成されています。

本記事では、そのうち相続前夜となる①財産開示フェイズを説明していきます。

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【財産開示フェイズの流れ】

まず、身分カードによって、プレイヤーそれぞれがいろんな身分に割り振られます。

(配偶者、子、愛人など…)

各プレイヤーは、自分のターンに被相続人カードを表にしていくことで、相続して点数化(できるかもしれない)財産を確定させていきます。

被相続人カードには、すべての財産を借金にするカードや、愛人に財産の半分を遺贈(相続と同じような効果)させるという遺言なども隠れているため、いいタイミングで被相続人カードをめくるのを止める必要があります。

上記のような故人の財産を開示していくということと並行して、各プレイヤーには、次のフェイズで他のプレイヤーと争うための調査カードが配られていきます。

この調査カード、配偶者の身分を失わせる「婚姻無効」のような攻撃カードもあれば、隠し子が出てきて相続権を主張できる「隠し子の後見人」といったカードもあり、手札となるカード構成で盤面がガラッと変わります(この辺は、次回の記事で詳しくお伝えします)。

調査カードも、このフェイズが長く続くことで各プレイヤーに増えていく(ゲーム展開が予測できなくなっていく)ので、どのタイミングでこのフェイズを切り上げるかが、このゲームの肝になります。

誰かが、自分のターンで財産開示フェイズの終了を宣言することで、このフェイズは終了します。

 

【実際の相続手続との対比】

弁護士が相続関係事件を受任したときに、まず最初に行うことは、相続人調査と財産調査です。

相続人調査は、依頼者が把握していると思っていても、予想外の相続人が現れる可能性がありますので、戸籍を遡って、隠し子がいないか、実は親や兄弟姉妹が存命だったりしないかを調査します。改製原戸籍(かいせいはらこせき)という手書きの戸籍まで遡ることもざらにあります(事務員さん本当にありがとうございます)。

また、結局相続財産がどれだけか把握しなければならないため、被相続人の財産調査も並行して行います。依頼者が把握している財産だけがすべてとは限らないため、被相続人のお宅の郵便物や、預金口座の過去の取引履歴等から、保険、株式、あるいは消費者金融への返済等の存在がないかを確認し、場合によっては証券保管振替機構(通称ほふり)に照会をかけることもあります。

このような調査を行って、相続人と遺産を把握した後、さて、どのような相続となるのかな、任意交渉でいけるか、調停するか、訴訟まで見据えるかということを考えます。

弊ゲームでは、相続人調査はすでに終わっている段階からはじまりますが、上記のとおり財産調査は実際に実務でも行います。財産を調査していくと、急に借金が出てきたり、変な遺言を発見したりという事態には遭遇しうるため、この点もゲームと実務のリンクといえますね。※ちなみに私は幸運なことにそんな大変な場面には遭遇したことはありません。

 

以上です。

こんな感じで、弊ゲームと実務の流れとを対比させながら不定期に記事を投稿していこうと考えておりますので、少しでも面白いと思ってもらえたら幸いです。

 

それでは皆さん、より良い遺産相続ライフを!!

 

「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」の取り置き予約はこちら!!