情報ひつじ

初サークル参加です!ラミー系カードゲームの新作「OVERHAUL」を販売します! https://twitter.com/YyBvatJB19V1LXz

[ボードゲーム作るには] 7 面白さの核を確立しよう
2023/12/5 2:27
ブログ

「面白さの核」を確立しよう

ボードゲーム制作の際はまず「面白さの核」を確立することが重要です。ボードゲーム作りではアイデアを元に何度も修正を重ねます。しかし初めのアイデアが筋の悪いものだといくら修正を重ねてもなかなか面白くなりません。時間をかければボードゲームがつまらなくなる要因を取り除いていくことは可能ですが、「つまらなくなる要因」を全て取り除けば面白いゲームができるわけではありません。マイナス要因を削っていけば「ちゃんと作った」ゲームにはなるけれど、魅力的といえるゲームにするにはそのゲーム独自の核となるアイデアが必要となります。「面白さの核」を早く確立することをお勧めしているのはアイデアの見極めを早期に行い、筋の悪いアイデアを早いタイミングで捨てて無駄な時間を消費しないためです。

 

「面白さの核」とは

「面白さの核」が確立した状態というのは伝えたい面白さがゲームの中で表現できている事が確認できる状態です。ゲームの主要なメカニクスを作り、実際にそれを一人回ししたりテストプレイした時に、自分が狙った面白さを感じることができる瞬間があれば「面白さの核」ができたといって良いと思います。「面白い」と思える瞬間が少なくても構いません。配られた手札が運よく特定の状態になった時だけ面白い駆け引きができるとか、ゲームの最初だけ面白い、でもOKです。自分が心から面白いと思えるタイミングがあれば、それが「面白さの核」だと言えるでしょう。狙った面白さが表現できている事が確認できれば、決めていないルールや欠点が残っていても構いません。まずは「問題をこれからつぶしていけばゲームとして成立する」という手ごたえがあるかを意識してください。

 

「面白さの核」を確立するには

「面白さの核」を確立するには、まずゲームの一人回しをしてみましょう。ゲームというのはルールを見ただけでは面白いかどうかわかりません。これはボードゲーム作りでも同じことが言えます。たとえ自分が考えたルールであっても、実際に自分でプレイしてみるまではどれぐらい面白いか分からないものです。ルールを作った時は面白いものになったと思っていても実際に回してみるとゲームとして成立してさえいなかった、という事はざらにあります。大まかにルールを考えて必要なコンポーネントを特定したら、モックを作ってみることをお勧めします。それらのモックを動かしながらルールを考えていった方が、頭で考えるよりも良いアイデアが思いつきやすいです。

 

「面白さの核」を確立するにはゲームコンセプトと原則の両立を目指しましょう。ここでいう原則とは前回説明した「意味のある選択」という原則です。コンセプトは表現できていても原則を満たしていないと企画倒れのゲームになってしまいます。「意味のある選択」にならないゲームというのは、勝利のために打つべき手が決まってしまったり、ゲームの途中で勝者が明らかになりそれ以上プレイし続ける意味が無くなってしまったりするからです。一方で「意味のある選択」という原則を満たしていたとしてもコンセプトに沿った面白さになっていないゲームは魅力の欠けるゲームになってしまいます。原則に沿えば「遊べる」ゲームにはなるかもしれませんが、狙った面白さが十分に表現できていないなら、もう一度遊びたいと思えるほど人に印象を残せないゲームになりがちです。

 

「面白さの核」を意識した試行錯誤の具体例

「面白さの核」を確立するまでの試行錯誤の具体例として、私がボードゲーム「OVERHAUL」を制作したケースを紹介します。このゲームのコンセプトは「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」です。また、制作の際の制約として「持ち運びできるようにカードのみで構成する」というのも意識していました。初め「麻雀のカードゲーム化」というところからスタートしたボードゲーム作りですが、以下の3つの問題を解決したタイミングで「面白さの核」を確立できたと感じました。

 

1つ目の問題は手札枚数の問題です。麻雀を単純にカードゲーム化すると手札が14枚になって持ちにくいという問題があります。しかし単純に手札の数を減らしてみると、自分が麻雀に感じていた「効率の良い揃え方を考える」楽しさは減ってしまいました。この手札数の問題の突破口になったのは「スカウト」というゲームでした。
「スカウト」は、前に出した人のカードよりも強いカードを出していってはじめに手札をすべて出し切った人が勝ち、というゲームです。大富豪のように同じ数字のカードや数字が連番になっているカードは一度に場に出すことができるのですが、1つ出し方に制約があります。それは手札のカードの順番を入れ替えることができないということです。順番を入れ替えることができないので、手札の中で組を作りづらく孤立したカードを出すことが難しくなります。そのため場からカードを取る時、手札のどこに差し込むかが重要になります。手札の順番を入れ替えられない制約のおかげで初期手札の枚数が麻雀よりも少ないにも拘わらず、どのように組み合わせれば効率よくあがれるのかを考える面白さが生まれています。このメカニクスを採用することで、少ない手札枚数でも「数字を揃えて組み合わせるパズル的な面白さ」が表現できると考えました。

 

2つ目の問題はカードの出し方です。この点については前回で話した内容と重複します。初めは発想元になった「スカウト」同様、毎ターンカードを出していくルールでした。しかしそのようなルールではカードを出すたびに手札が減っていってカードの出し方の組み合わせが減ります。そのため、ゲームが進むほど「数字を組み合わせる」面白さが減り、スタート直後しかそういう面白さの無いゲームになってしまっていました。この問題はチャレンジ宣言のルールを作ることで解決しました。毎ターンカードを出していくのではなく、取得したカードを場にストックしていきます。場のカードと手札であがれると判断したプレイヤーはチャレンジ宣言します。チャレンジしたら場のカードを好きに手札に差し込み、その後、同じ数字や連番の条件を満たしたカードを取り除き全ての手札を取り除ければあがり、というルールに変更しました。このルールに変えると手札のカードはゲーム終了まで減ることがなく、逆に場のカードが増えていくことで考えられる数字の組み合わせが増えていくことになります。そのため、最後まで「数字を組み合わせる」面白さが残るゲームになりました。

チラシ画像

 

3つ目の問題はチャレンジ宣言の失敗です。チャレンジ宣言をした後に場のカードを手札に差し込んであがりになったかどうか確認するルールとしましたが、あがれない時にチャレンジ宣言してしまうケースが多く発生しました。理由は手札からカードを出した後、残りの手札は出したカードの間を詰める、というルールにしていたからです。

上がり方1

上がり方2

上がり方3

上がり方4

このルールによって組み合わせ方が増えるためゲームに奥深さが生まれます。しかしこのルールには問題がありました。チャレンジ失敗時にプレイヤーにつらい思いをさせてしまうというものです。チャレンジ宣言時にはカードを実際出しながら成否を確認するので、チャレンジ宣言後は手札を元の状態に戻せません。そのためチャレンジ宣言に失敗したプレイヤーを失格にせざるおえないのです。しかも、場のカードを手札に差し込んでしまうとどれが手札でどれが場から差し込んだカードなのか分からなくなってしまうので、そのような行動を禁止していました。このルールのせいでプレイヤーは自分があがれるかどうか場と手札を見ながら暗算する必要がありました。この問題はカードを2種類に分けてそれぞれ別のデザインを採用することで解決しました。手札として配るカードと場から取得できるカードを分け、それぞれ別の色、別のアイコンのデザインにしました。これにより、プレイヤーはゲーム中、手札に場から取得したカードを差し込んであがれているかどうか確認することができます。デザインが異なるので、手札に差し込んでも初期手札の状態に簡単に戻せるため、カードの差し込みを禁止せずに済むからです。この変更によりプレイヤーはチャレンジ宣言する前にしっかり確認できるようになり、チャレンジ失敗の可能性を大幅に下げることができました。

 

3つの問題、手札枚数・カードの出し方・チャレンジ宣言失敗の問題が解決した段階で「面白さの核」が確立できたという実感がありました。この段階ではたくさん未検討事項が残っていました。カードが全部で何枚あるかも得点計算の仕組みもプレイヤー数も決まっていませんでした。しかし一人回しで触っていて十分に面白いと感じることができたのです。この後ルールの詳細を詰め、テストプレイをする中で様々な問題が出てきましたが、自信を持って対処していくことができました。それは「今感じている面白さを損なわないように調整すれば、必ず良いゲームになる」と信じることができたからです。